九州大学理事として産学官連携とグローバル対応を務める若山正人氏は、純粋数学の研究者という、産学連携担当としては異例の経歴を持っています。世界でも珍しい産業数学の研究拠点「マス・フォア・インダストリ研究所」の設立を主導するなど、「数学と産業との連携」を積極的に牽引してきた若山氏に、数学の持つ可能性や産学連携の現状と課題、そして大学にとっての産学連携の意義について、お話を聞きました。 ※このログは、LINK-Jの記事を転載したものに、ログミー編集部で見出し等を追加して作成しています。 産業応用を通じて数学のさらなる発展に挑戦 ―純粋数学の研究者である先生が、産学連携をご担当されているというのは非常に異色だと感じます。 若山正人氏(以下、若山):産学連携を担当した当初は、数学者であるということで、産業界の関係者などは戸惑われたこともあったようです。その上、ウェブなどから分かるこれまでの研究業績や
「マリオメーカー学会」というものをご存じでしょうか。自作ステージを作って遊べるゲーム「スーパーマリオメーカー」に斜め上過ぎる楽しみ方を見いだした“研究者”の集まりで、これまでには「クリアに20万年ほどかかるステージ」「ギミックを巧みに活用した計算機」などが開発されています。 話がぶっ飛んでいて何が何だか分からないかもしれませんが、きっとそれだけ研究が進んでいるということでしょう。今回は、5分間で数学を語るイベント「日曜数学会」から、同学会のハイレベルさが伝わる発表「スーパーマリオメーカーはチューリング完全」を書き起こしました。 拡大画像でスライドを見る スーパーマリオメーカーはチューリング完全 イベント:2019年6月29日開催の第15回「日曜数学会」(Twitter:@nichimath) 発表者:yos1upさん(Twitter:@yos1up) 発売から約2週間で、計算機になったスー
トロピカル半環と呼ばれる代数構造上のトロピカル行列を利用すると動的計画法を使ってグラフの最短経路の距離を計算するという問題が単純な行列積で解けてしまうらしい。そんな噂12を聞きつけて我々はその謎を解き明かすべく南国(トロピカル)の奥地へと向かった。 トロピカルな世界に行くためにはまずは代数を知る必要がある。要するに群・環・体の話だ。しかしこの記事の目的は代数学入門ではないので詳しい話は他の記事3に譲るとし、さっそく半環という概念を導入する。それは 半環は以下の性質を満たす二つの二項演算、即ち加法(和)"$+$" と乗法(積)"$\cdot$" とを備えた集合$R$を言う $(R, +)$ は単位元 $0$ を持つ可換モノイドを成す: $(a + b) + c = a + (b + c)$ $0 + a = a + 0 = a$ $a + b = b + a$ $(R, \cdot)$ は単
はじめに こんにちは、MediaAds ML Teamに所属している飯塚(@zr_4) です。 以前書いたブログ*1をベースに変更を加えた論文がRecSys 2019 *2 に通りました(ヤッター)。 埋め込みベースの推薦は、近年最も成功を収めた推薦手法の一つです。 埋め込みベースの推薦を行っている多くの大企業では、精度良くアイテムやユーザーを表現するため、数百次元のベクトルを使用しています。それによって、莫大な計算リソースを日々消費していることと思います。またリアルタイムにベクトルの演算を行うために検索システムを自作している企業も少なくないと思います*3。負荷の大きさから、特定のロジックの実装に踏み込めないケースも多々あるかと思います。 一方で近年、埋め込みの空間に双曲空間を用いることで、階層構造、木構造、Directed Acyclic Graph (DAG) が低次元のベクトルで表現
今回の記事は、楕円曲線についての基礎的な事項についてのおさらいです。 これまでのtsujimotterのノートブックでは、色々な記事で楕円曲線について紹介してきました。しかしながら、どれも文字数や手間の関係で駆け足で紹介せざるを得ませんでした。ここで一度腰を据えて丁寧に解説したいと思います。 楕円曲線は、代数曲線としての側面を紹介することが多いですが、今回は複素トーラスとしての側面について中心に紹介します。これは、後でモジュラー曲線に関する記事で使うことを想定しています。 モジュラー曲線関連の情報は、以下のタグの一連の記事でまとめているところです。 tsujimotter.hatenablog.com なお、今回の記事はモジュラー曲線に関するシリーズ記事の一環で書いていますが、今回の記事に関して言えば、これまでの知識なしで読めるものとなっています。 目次: 1. 楕円曲線=複素トーラス 2
2019/06/30 に arXiv にアップロードされた論文である The Ramanujan Machine: Automatically Generated Conjectures on Fundamental Constants を読んだのでその概要をメモしようと思います。 概要 円周率 $\pi$ や自然対数の底 $e$ といった数学の定数を含む式は規則的な項を持つ連分数で表現できることが知られています。例えば wikipedia からの引用ですが以下のような等式が成り立つようです。 論文ではこのような形の等式に関する予想をコンピューターに自動で発見させる手法を提案しています。結果として、これまでに知られていなかった予想を複数個得られたと著者は報告しています。以下は見つかったとされる予想の一例です。 著者らの発見したこれらの等式には数学的な証明はありません ("予想"であるため)
楕円曲線とは(細かいことを抜きにして言えば *1) という式で表される曲線のことです。上の方程式のことを、楕円曲線の定義方程式といいます。 時と場合によって微妙に定義式の書き方が異なったりますが、左辺の の指数はいつも 2乗 になっていて、右辺の式はいつも決まって 3乗 になっています。 なぜこんな形の式を考えるのでしょう。 楕円曲線について勉強した人は、一度くらい、このような疑問を持つのではないでしょうか。 ところで、楕円曲線の定義として、以下のものを思い浮かべた方もいるかもしれません。 種数1の非特異射影代数曲線を楕円曲線という 上記の定義には、定義方程式の形が一切出てきませんが、冒頭の定義と一致するのでしょうか。 ここでは、種数1 という情報がポイントです。ほぼこの情報だけから、楕円曲線の定義方程式の形状が決定されるのです。 代数曲線の理論には、リーマン・ロッホの定理 という重要な定
1, 2, 4, 6, 12, 24, 36, 48, 60, 120, 180, 240, 360, 720, 840, 1260, 1680, 2520, 5040, 7560, 10080, ... https://oeis.org/A002182 これらの数は約数をたくさん持っており割り算がしやすいので我々の日常でもよく使われるようです。 例えば1ダースの12や24時間、60分、360度などなど。 定義 自然数で、それ未満のどの自然数よりも約数の個数が多いものを高度合成数と呼びます。それっぽく書くと 自然数 $N\in{\mathbb N}$が任意の$N$より小さい自然数$N'\in{\mathbb N},\ N' < N$に対して ${\rm d}(N') < {\rm d}(N)$ を満たす時、$N$を高度合成数と呼ぶ。 ただし${\rm d}(n)$は$n$の約数の個数を与え
This note recapitulates and expands the contents of a tutorial on the mathematical theory of algebraic effects and handlers which I gave at the Dagstuhl seminar 18172 "Algebraic effect handlers go mainstream". It is targeted roughly at the level of a doctoral student with some amount of mathematical training, or at anyone already familiar with algebraic effects and handlers as programming concepts
こんにちは!ほけきよです。 ベン図ってご存知ですか? 高校1年か2年くらいで習う、集合を表す図です。 文系が高校数学において、唯一社会人になっても使う理系の図かもしれません。 どのくらい大事かというと、このように、「会議でスマートに見せる100の方法」の第1項目にあげられるほど重要です。 (出典)会議でスマートに見せる100の方法 ベン図を制してこそ、会議を制することができ、また出世街道を制することができると言っても過言ではないのです。 しかし、この図のように本当に, つまりたった2つの集合のベン図を書くだけで頭が良いと言えるでしょうか?? 今回は、3つ以上のベン図を紹介します。これを書くことで、真の会議の王者になりましょう! n=2 n=3 n=4 n=5 美しいベン図はどこまで書くことができるの? n=7 美しいベン図のフロンティア、n=11 終わりに n=2 基本の型ですね。ベン図で
実施概要 この度、数学カフェ@関西を発足することになりました。 つきましては、この会の管理者でもあります 山田智宏 先生に整数論についての講演をお願いいたしました。 日時: 7 月 7 日 13:00 から 18:00 (12:30 開場) 開催場所: 〒553-0001 大阪府大阪市福島区海老江2丁目8−29 2F 大阪分散技術コミュニティ https://goo.gl/maps/K5vwm7MbYdo 参加費について 参加費は 一口 500 円(最低一口) いただきたいと思っています。主に 飲み物 お菓子など 会場提供への謝金 および 今後人を遠くから呼ぶためのプール に当てさせていただきます。 ご協力のほどよろしくお願いいたします。 講師ご紹介 山田智宏(大阪大学日本語日本文化教育センター) HP 整数論には初等的に定式化できるにもかかわらず未解決の問題が多数あります。これらの問題に
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