凱旋門賞2013―観戦記― 自ら率先して逃げる馬は見当たらず、道中は馬群が詰まった形となる、いつもの凱旋門賞らしいスローな流れ。オルフェーブルとキズナの日本馬2頭は、いずれも馬群の外を回す形で折り合いに専念していた。勝ったトレヴをはさんで前後のポジションであり、結果的には、外を回したことによるマイナスはなかったと考えてよい。それよりも、最後の直線に向いてからの、瞬発力勝負における勝ち馬の圧倒的な強さになす術がなかった、というレースであった。 トレヴは5戦無敗で頂点まで登り詰めた。凱旋門賞馬になるためにトレードされたようなものであり、その素質を見抜いたオーナーや極限まで仕上げ切ったトレーナーらの想いが、最後の直線における切れ味として結実した。デットーリ騎手から乗り替わったジャルネ騎手も、ベテランらしく、勝負所を過たずに上がって行き、早めに突き放した騎乗は見事であった。これだけ強くて完璧に仕上