原節子の訃報が筆者の暮らすイギリスにも伝わってきた。ああ……と切ない思いに駆られたので、訃報に関するネットのコメント欄をチェックしたりイギリス人にこの話をしてみたところ「まだ生きてたんですか!」の驚きが多く、知人については原節子と言うよりも「OZU」を持ち出しておぼろげに「ああ、あの女優……?」、そして「……何歳だったの?」と続く反応だった。 それもそうだろう。1963年の女優業引退後は公の場やパブリシティ/取材を退け続け、ガルボ以上に私生活は謎に包まれていた女優さんだ。原節子を初めて見たのも、そういえば出演映画ではなかった。小学生の頃、「麗しの名女優写真集」みたいなグラビア本の新聞広告で、ディートリッヒ、バーグマン、ヘップバーン号等に混じって原節子号があるのを見かけたのがきっかけ。筆者が『東京物語』で実際に彼女が動きしゃべるところを観るのは、その10数年後の話である。 それによっぽどのシ
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