ロシアを抜き去り、米国と宇宙の覇権を争う中国。その宇宙開発は今どこにいて、どこへ向かおうとしているのか。後れを取った日本が知らない「宇宙大国」中国の実力を分析する。 軍用と民用に境のない宇宙開発 今の時代、宇宙開発で軍用と民用の境はありません。どちらかだけを取り出して伸ばすということは、技術的に高くつき過ぎるのです。米ソ冷戦の間、私たちはあまり知らずにいましたが、打ち上げられる衛星の実に75~80%は、軍事専用の衛星でした。 月刊誌『天文ガイド』(誠文堂新光社)には、ソ連や米国が打ち上げた衛星のリストが毎月載っていました。まだ日本が人工衛星を軌道に乗せられずにいた頃など、「こんなにたくさん打ち上げているのか」と、特にソ連の実績に驚いた人がいたようです。それらのほとんどは、軍事衛星でした。 状況は、ソ連が崩壊して冷戦が終わり、21世紀に入る頃までに変わります。専用軍事衛星の占める割合は、20