天皇杯の規約に「ベストメンバー」での参戦を義務付ける条文が加わった。だが、ベストメンバーの定義や罰則はない。あいまいな印象で、具体的な効果は不透明だ。 前回大会ではJ1の大分や千葉が主力を温存し、敗退したことが問題視された。リーグ終盤で優勝や残留が懸かるクラブは、天皇杯の優先度が低下しがちだ。この傾向に歯止めをかけるため、日本協会は歴史と権威ある大会の軽視は許さない、という強い姿勢を示したといえる。 チーム事情に合わせた監督の選手起用を規約で縛ることへの反発は現場を中心に根強い。天皇杯を担当するJリーグの佐々木常務理事も「何をもってベストと言えるのかは悩ましい」と素直に認めた上で、「そういう精神で臨んでほしいということ。クラブや監督を信じるしかない」と話した。