本年2月に慶應義塾大学から「教育改革のための学校図書館」の研究業績により博士(図書館・情報学)の学位を頂戴した。その経緯について書いておきたい。 私たちの世代の文系の研究者は、大学院博士課程を単位取得退学のまま就職し、そのまま定年近くまで博士の学位なしの人が多い。当時、文科系では、博士はある分野に長期間携わって一定の成果を上げた人のための名誉的な称号であるという見方が支配的で、若いうちにとることは一部の分野(心理学、社会学、経済学などの実証科学的分野)を除くとあまり考えられていなかった。だから、外国の研究者人と交流して博士号がないというと少し肩身が狭い思いをしながらそのような事情を話さざるをえないことも何回かあった。私自身は、一定の研究分野でじっくりと研究を継続することができず次々といろんなことに手を出して中途半端にしたまま違うことに手を染めることを繰り返してきたので、博士号をとることもな