日本語をローマ字で書くときに重要な心構えがひとつあります。 それは、「ローマ字は英語ではない」ということです。平仮名で書こうが、ローマ字で書こうが、それは日本語です。日本語なのですから、日本語の表記法に則って書かなければなりません。 これは当たり前のように思われるかもしれませんが、しかし、人はしばしば、「英語話者が読めるかどうか」を気にしすぎることがあります。しかし、ローマ字は英語ではないのですから、訓令式であれヘボン式であれ、日本語ローマ字綴りの読み方の知識のない人には正しく読めません。それは特定のローマ字綴り方式の欠陥ではなく、本質的にそうであるということです。 確か、作家の佐藤亜紀氏のエッセイの中に、アメリカ滞在中に何度訂正しても名前のAkiを「アキ」でなく「エイキ」と発音されるので怒った、という話があったと思います。また、どこで読んだのか忘れましたが、「Kyoto」を「カイヨート」