宇宙空間は魔法使いの住む世界なのだろうか。シンデレラが乗った馬車のように大きなカボチャも夢ではなくなる。 それを実現してみせているのが中国の宇宙開発の現場なのだ。地球を取り巻く宇宙空間の特殊な条件を利用して活発な植物の品種改良が進む。 中国の人口は13億人。拡大する「胃袋」を満たすための妙案が宇宙開発に託されている。宇宙生まれのマンモス・カボチャ「太空南瓜」は、その期待に応えた成果の一例だ。 無重量の宇宙では熱対流が消えるので、超高品質の合金も製造可能。生命科学の分野では、タンパク質もきれいに結晶するなど、新素材や医薬品の開発に道が開ける。 日本はスペースシャトルなどを利用して、宇宙での高度先端技術を追究してきたが、特筆すべき成果は出ていない。 これに対し、中国では日常生活と宇宙産業の距離が急速に短縮中だ。特に高度なことをしているわけではないのだが、実績は着実に目に見える形になっている。