立花隆氏が、故・宮沢元首相にインタビューしたときの印象について興味深い記事を書いている。[立花氏が]「ひと昔前なら経済財政政策は、ケインズ理論にのっとってやっていれば、まちがいなかった。だけど、いまはもうそういう時代じゃないでしょう。いまはどういうプリンシプルにもとづいて経済を運営しているんですか」 と聞いた。すると、この質問を聞くまでは、丁寧にいろんな質問に答えていた宮沢が、突然表情を変えて、キッとなった。 「いえ、ケインズ政策の時代が終わったなんてことはありません。いまでもぼくはケインズ理論が基本的にいちばん正しいと思っています。ケインズに代わる理論はありません」これは1980年、前年にサッチャー英首相が就任し、翌年にはレーガン米大統領が誕生し、反ケインズ政策が流行していたときの話だ。経済学の世界でも、フリードマンの「自然失業率」理論がケインズ的な財政政策の無効性を証明し、ルーカス