東条内閣倒閣の狙いとは まず、何はともあれ、前回(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49940)の終わりにちょっとふれた椎名悦三郎(後の自民党副総裁)の嘆願書の内容をご紹介したい。 椎名は冒頭「以下の私の証言を読んでもらえれば、彼(岸信介)を覆っている戦犯疑惑の暗雲は完全に吹き払われてしまうはずです」と英文で述べ、GHQに岸の釈放を求めている。 嘆願書で椎名が最も強調したのは、戦時中の商工行政を司る閣僚だった岸が東条内閣打倒を決意するまでの経緯である。 読者もご承知のように、日本の近代で東条英機ほど権力の座を独占した政治家はいない。彼は首相と陸相を兼ね、後に軍需相と参謀総長も兼任した。 しかも彼は人命より「一億玉砕」を選ぶ軍人だったから、彼の独裁があと1年続いていたら本土決戦が行われ、何百万人もの犠牲者が出ていただろう。 その意味で東条内閣の瓦解は歴史