この夏、43度目の誕生日を迎えた。僕にとってこの年は感慨深いものがある。学生の頃、ニュース番組で「何歳まで山に登りたいですか?」と聞かれ、とっさに「43歳まで」と答えたことがある。植村直己(なおみ)さんが43歳のときにマッキンリーで遭難したから。 高校時代に落ちこぼれた揚げ句に学内で暴力事件を起こし停学処分に。その停学中に植村さんの著書「青春を山に賭けて」と出会う。植村さんは1人コツコツと山に登り続け、結果的にそれが「エベレスト日本人初登頂」「世界初5大陸最高峰登頂」という大きな冒険につながっていく。ひとつのことをコツコツと積み重ねれば、こんな自分にも何かができるのかもしれない。植村さんの生き方に救いを求めるかのように僕も山に登り始めたのが15歳のときだった。 それ以降、43歳までは山に登り続けると心に誓っていた。あれから、ひたすら山に登り続けてきた。 もちろん、挑戦から得たものもある。一
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