最も重大な問題を、置き去りにすることにはならないか。 生命科学の常識を覆す大発見とされたSTAP細胞について、理化学研究所の調査委員会が報告書を発表した。 STAP細胞は、既存の万能細胞である胚性幹細胞(ES細胞)である可能性が非常に高いとする内容である。 理研の元研究員、小保方晴子氏を筆頭著者とするSTAP論文の主張は、厳密な科学的検証によって否定された。 理研は、STAP論文に関する調査を終結させ、小保方氏らに対する懲戒委員会の審査を再開する方針だ。科学界を揺るがし、社会を巻き込んだSTAP問題の幕引きだが、どうにもすっきりしない思いが残る。 論文はすでに取り下げられており、その真偽はもはや問題ではない。理研にとっても、科学界全体の信頼回復のためにも、最も重要なのは不正の経緯を解明し、再発防止への教訓をくみ取ることであるはずだ。 ES細胞の混入が何回も繰り返された実態から、調査委は「研