連合国軍総司令部(GHQ)マッカーサー最高司令官の軍事秘書、ボナー・フェラーズ准将の半生を描いた著書の準備を、名古屋大大学院の井口治夫教授(国際政治学)が進めている。フェラーズは戦争責任を問われた昭和天皇の訴追回避に尽力。主人公となった公開中の映画「終戦のエンペラー」では、親日家の心優しい米国軍人として描かれているが、井口教授は「実はすごい野心家で、日米政府にとって危うい存在でもあった」と分析している。 (池田悌一) マッカーサーとともに来日し、天皇の戦争責任の調査を任される。戦犯を厳しく追及する一方、日本人女性とのかなわぬ恋にむせび泣く-。映画は史実とフィクションを織り交ぜて展開する。 フェラーズは実際、日本政府中枢への聴取を重ね、「天皇に権限はなかった。戦争犯罪人として告発すれば動乱が起きる」との覚書をマッカーサーに宛て、天皇の権威を利用しながら占領政策を進めるよう助言した。天皇はその