故渥美清さんが主演した「寅さん」シリーズは終盤、おいっこ満男の恋物語が軸になっていきます。渥美さんの体調不良もありましたが、若い恋模様は連作に新風を吹き込みました▼こみあげる思いをぶつけ合う満男と恋人の泉。喜びと切なさが交差する舞台に、よく新幹線のホームが使われていました。それぞれの出会いと別れ。遠くへと旅立つ新幹線は、さまざまな感情があふれる舞台の象徴になってきました▼「夢の超特急」が東海道に開通してからきょうで50年。いまや各地に路線は延び、半世紀の間に延べ55億人を乗せてきました。一方で、在来線の消滅や縮小で地方の過疎化、格差がひろがっています▼停車すれば活性するといわれた地方の街々は寂れ、大都市圏集中に拍車がかかっています。強引な路線拡大は環境や財政面からも批判を浴びてきました。そのうえ、いまリニア中央新幹線の建設計画が動きだしているのです▼山梨・都留(つる)市にあるリニア見学セン