戦後75年の夏は「みたままつり」もなく、足早に8月15日がやってきた。コロナ禍が続く中でも多くの参拝者が炎天下の靖国神社に列をなした。私も自衛官有志とともに昇殿参拝をした。しかし、現職自衛官が制服を着用して英霊たちに参ることを良しとしない自衛隊内の風潮は、いまだに変わっていない。 このほど復刻された戦中の教科書『初等科国語』『初等科修身』を読んで、驚嘆した。「日本人として踏まえておきたい大切なこと」が、やさしい言葉に濃縮されて、ぎゅっと詰まっていたからだ。神話・皇室・神社・祝祭日・軍人・尚武の精神・自然などが題材になっているが、通底しているのは優しさだ。「靖国神社」は、国語と修身の双方に登場する。 中でも衝撃的だったのは、「大演習」だ。軍隊が「民泊」していたことを、恥ずかしながら初めて知った。演習を終えた兵隊さんが家に泊まるというので、小学生が急いで学校から帰ってくる。お風呂から上がった兵