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心理と内田樹に関するcastleのブックマーク (34)

  • 『借りぐらしのアリエッティ』を観てきました - 内田樹の研究室

    ジブリの『借りぐらしのアリエッティ』を観てきた。 ジブリの新作だけは、映画館で見ることにしている。 『BRUTUS』の宮崎駿特集にも書いたけれど、宮崎駿の映画的達成については語るべきことが多い。 それはたぶん宮崎駿という人が、あまり「テーマ」とか「メッセージ」とかいうことを深く考えず、「描いて気持ちがいい絵」、「観て気持ちがいい動き」に集中しているからだろうと思う。 身体的な「気持ちのよさ」をもたらす要素は多様であり、私たちはそれを完全にリストアップすることはできない(半分もできない)。 でも、ひとつは確実にわかっている。 それは「ヒューマンスケールからの逸脱」である。 日常的な生活身体を以てしては決して経験することのできない「速度」や「高度」や「風景」や「体感」に同調することである。 凡庸な作家は、日常的には禁圧されている暴力とエロスを描けば「気持ちが良くなる」と思っている。 けれども、

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    castle 2010/07/26
    「観て気持ちがいい動き」「ヒューマンスケールからの逸脱」「『借りぐらしのアリエッティ』も、非日常的な仕方で身体を使う主人公に同調することで映画的快感を経験するというスキームそのものは変わらない」
  • 普天間 「それ」の抑止力 (内田樹の研究室)

    共同通信の取材。参院選についての見通しを訊かれる。 月曜にAERAのみなさんともその話をしたばかりである。 民主党は議席を減らすが、「大敗」というほどではないだろう。自民党はさらに議席を減らし、谷垣総裁の責任問題に発展し、党の分裂が進む。公明党も政権与党という条件がなくなったので議席減。「みんなの党」に多少議席をふやす可能性があるが、投票率が低いだろうから、「風が吹く」というような現象には達しないだろう。 というあまりぱっとしない見通しを語る。 見通しがぱっとしない理由は民主党政権が「期待したほどではなかった」という思いはあるが、「じゃあ、何を『期待』していたんだ?」と訊き返されると、有権者も政治家もだれもが明確な中長期的構想を語れないからである。 民主党だって「やろう」としたのだが、うまくできなかったのである。 それを民主党の政治家たちがとりわけ無能であったと見るか、「やれる」と思って取

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    castle 2010/05/28
    「「抑止力の実態」について、首相は沖縄で米軍当局者から直に聞かされた」「「それ」があるせいで北朝鮮は日本へのミサイル攻撃を自制している。中国は近海での軍事行動を「今程度」に抑制している」囲碁みたいだ。
  • 普天間基地問題がかたづかない理由 - 内田樹の研究室

    毎日新聞からの電話取材。お題は「普天間基地問題」。 新聞の電話取材で数行のコメントで、基地問題のようなむずかしい問題を論ずることは事実上不可能である。 その行数では、理解しがたい話を「情理を尽くして」説得することはできない。 基地問題は「解のない問題」である。 変数が多すぎる。 アメリカ政府、日政府、沖縄県民がとりあえず当事者であるが、もちろんその内部にも異論が混在している。 アメリカの軍部の中でも、海兵隊の基地問題に対しては、他の三軍は冷ややかである(これは日の新聞はほとんど報道しない)。 「ヘリコプター基地なんか、沖縄に要らない」と広言する軍人たちももちろん米軍内部にはいる。 いて当然である。 軍事はすべて「もし、こんなことが起きたら」という未来予測に基づいて計画される。 未来予測だから、誰が正しい予測をしているかは「ことが起きるまで」誰にもわからない。 「打てる手はすべて打ってお

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    castle 2010/04/24
    「軍事は「もし、こんなことが起きたら」という未来予測に基づいて計画される。誰が正しい未来予測かは「ことが起きるまで」誰にもわからない」「「打てる手」資源に限りがある場合は傾斜配分しなければならない」
  • 大人への道 - 内田樹の研究室

    お休みの日だけれど、取材が二件あるので大学へ。 最初は花王の研究所のみなさん。30 代の中堅どころのチームリーダーのみなさんが「ちかごろのわかいもん」をどうやって組織人に仕立て上げたらよろしいのでしょうかという悩みをかかえていらしたのである。 よくぞ私のところに「それ」を訊きに来られましたな。 Right time, right place とはこのことです。 前日の週刊ポストの取材もほとんど同趣旨のお訊ねであった。 要するに「共同的に生きる」ということの基礎的なノウハウが欠如した社会集団がいるのだけれど、それを「どうしたらいいのか」という問いである。 「どうしたらいい」のかという対症的な問いの前に、「どうしてこのような集団が発生したのか」という原因についての問いが立てられなければならない。 同じことをもう繰り返し書いているので、詳しくはもう書かないが、要するに「自己利益を優先的に追求する

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    castle 2010/04/22
    「自己利益と自分らしさの追求が国策的に推奨されたのは、集団の解体を促進し、市民の原子化を徹底し、消費活動の活性化をもたらしたから」「「子どもが邪魔だから子どもを切り捨てる」というのは「子どもの発想」」
  • グーグルの存在する世界にて - 内田樹の研究室

    木曜日、学士会館で目覚めて、ぼんやり窓の外を見ながら朝ごはん。 「学士会館朝ごはん、なう。」と Tweet すると、見知らぬ読者から「いま白山通りを歩いています」という reply が入る。 不思議なガジェットだなあ。 mixiとも携帯メールとも、機能がどこか根的に違うような気がする。 「ダイレクトメッセージ」ではなく、「宛名のないつぶやき」に反応する人がいるということが「広大な共生感」(@大江健三郎)をもたらすのであろうか。 よくわかんないけど、とりあえずは「精神衛生上よい」機能を果たしていることは間違いない。 だから、Twitter では「反論」とか「事実誤認の指摘」とかは遠慮してほしいですね。 「グーグル問題」について、いろいろ意見を訊かれる。 私の基的態度は「テクノロジーの進化は止められない」というものである。 とくにグーグルのビジネスモデルは「利用者はサービスに課金されない」

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    castle 2010/03/05
    「テクノロジーの進化は止められない」「コピーライトという既得権に固執する人は「コピーライトがあるがゆえに生じる逸失利益」に気づいてない」「ビジネスというのは本質的に「ものがぐるぐる回ること」」
  • 相対的貧困は解決できるか - 内田樹の研究室

    晩ご飯のあと、ごろんと寝ころんだら書棚にあった『貧困を救うのは、社会保障政策か、ベーシック・インカムか』(山森亮・橘木俊詔、人文書院、2009)というの背表紙が眼に入った。 そのまま手を伸ばして読み始める。 書架というのはこういうときに便利である。 読み始めたらおもしろくて、最後まで読んでしまった。 橘木さんは67歳の経済学者、山森先生は40歳の社会政策学者。学問的なアプローチも、ものの考え方もずいぶん違うけれど、きちんとした対話になっている。 相手と意見が違うときも、ふたりとも遠慮なく「私はそうは思いません」と言うけれど、それはたいていの場合、相手の発語を塞ぐというより、「それ、私にもあなたにも、どちらにもわからないことでしょう」という表示である。 過去の事例だけれど、まだ成否の検証が済んでいない政策と、未来予測に属する政策については、「私はあなたと評価を異にする」ということを表明して

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    castle 2010/02/21
    「学者の最も大切な仕事の一つは「誰にとっても知られにくい論点」を前景化する事」「「知っていること」を列挙する学者を嫌うのは、その知的リソースをもっぱら自分の知的威信に使用するから」「人は羨望でも死ぬ」
  • ドイツのつぎはフランスから - 内田樹の研究室

    毎日入試関連の会議。昨日も会議が3つ。今日もこれから夕方まで会議が4つ。 どうしてこんなに会議が多いんだろ。 会議のあいまにあれこれと用事を言いつけられるが、一つの用事が終わらないうちに次の会議が始まり、それが終わった頃には次の用事が言いつけられ、しだいに「未済」の仕事がうずたかくデスクにたまってゆく。とほ。 出版社からは「もう春休みなんですから。はやくゲラ返してください」と次々と督促メールが来るが、春休みも毎日出勤してるんですってば。 デスク仕事をしていると講演依頼、連載依頼、新規書き下ろし依頼などのメール、ファックス、電話が来る。 「たいへん申し訳ありませんが、2010年度は大学最後の年ですので、教育と学務に専念するため、学外でのお仕事は原則としてお断りしております。貴意に添えずにまことに申し訳ありませんが、微志ご諒察の上、ご海容ください。」 というストックフレーズを「クリシェ」にし

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    castle 2010/02/21
    「目指すは「気分のよい老人国家」「後世への贈り物」」「限られた資源でやりくりして、その範囲内でどれくらい生活の質を高く保つか、それを考えるべき」「これから日本が目指すべき目標は「質のよい後退戦」」
  • 出口なし - 内田樹の研究室

    『日辺境論』の書評がだいぶ前の「赤旗」に出ていた(昨日、アダチさんがファックスしてくれた)。 いろいろな媒体に取り上げられたけれど、「赤旗」とはね・・・ 代々木の(けっこう)えらい党員知識人であるところのワルモノ先生と共著で『若者よ、マルクスを読もう!』(仮題)を執筆中であることは党部のすでに知るところであろうから、「ウチダは代々木的には OK」というご判断がくだったのかも知れない。 私は右も左もなく、頼まれればほいほい寄稿する。 国民協会でも(ボツになっちゃったけど)、『第三文明』でも、『月刊・社民』でも、『赤旗』でも、身体が空いていれば、取材も寄稿も「いいすよ」と引き受ける。 私は政治イデオロギーによって人を差別しない。 人々が固有の政治イデオロギーを奉ずるに至るには、余人には窺い知れぬ個人的ご事情というものがあって、それはやはりできる限り配慮せねばならないと思うからである。 そ

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    castle 2010/02/21
    「私は人間が「どんな事があっても主観的には合理的に生きようとする」その努力を可憐だと思う」「(日本人の)「世界標準に合わせて『まとも』になろう」という発想そのものが辺境的」「人間の知性は定型に飽きる」
  • Twitter と自殺について - 内田樹の研究室

    一般入試 CD 日程。 AB 日程というのが1月29日30日にあって、その合否発表のあとに、2週間ほどおいて次の入試がある。 2月あたまが私学の一般入試の集中時期である。 そのときの合否の発表がもうほぼ終わっている。 2月中旬に行われるこの CD 日程は、さきに第一志望校の受験に失敗した受験生たちの「敗者復活戦」である。 すでに第一次志望校に合格したものは、出願はしたが、実際に受験には来ない。 だから、試験場の座席はけっこう「歯抜け」状態になるのがふつうである。 今年はその「歯抜け度」が小さい。 入学センターの諸君とこの「歯抜け度」の意味について考える。 あれこれ考えたが、やっぱりよくわからない。 この事態を説明する可能性として、いちばん妥当なのは、上位校が合格者を絞り込んできたせいで、現段階でまだ合格通知を手にしていない受験生がかなり多数残っていて、かつ学が「抑え」としてそれなりに高い

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    castle 2010/02/15
    「戦争中は自殺者が減る」「安定期に入って緊張が緩むと、日本人は生きる目標を見失って自殺し始める」「強者たちは連合して既得権を死守し、一方で弱者は分断され、原子化した状態で階層下位に釘付けにされている」
  • ナマケモノでいいじゃないですか - 内田樹の研究室

    ようやく授業が終わる。 今日から冬休みである。 なんとか生きて冬休みを迎えることができたことをとりあえず言祝ぎたい。 しかし、この二ヶ月実によく働いたものである。 『日辺境論』を出したせいで、販促活動がばたばたと重なり、たいへんな日程になってしまった。 それも一段落。 辺境ネタでは養老先生と二回対談した(『新潮45』と『AERA』) どちらもたいへん面白かった。 昨日は『サンデー毎日』の取材。 雑誌の4頁を使っての宣伝をしてくれるというありがたい企画である。 いろいろなメディアからの取材を受けたり、書評を読んで感じるのは「日人よ、がんばれ」という叱咤激励型の言説に日人自身がもううんざりしているということである。 叱咤激励的であるという点では右翼も左翼も変わらない。 「今の日はダメだ」という点では進歩的反動的、老いも若いも、みな口調が揃っている。 「いいじゃん、もう、これで」という

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    castle 2009/12/23
    「「他者が所有し、自分が所有していないもの」について「私もまた所有すべきである」と考えこれまでやってきた」「世界標準へのキャッチアップだけでわが身を鞭打ち続け、日本人は国民的規模で鬱になってしまった」
  • はてなブログ | 無料ブログを作成しよう

    新米と秋刀魚のわた焼き お刺身用の秋刀魚を買いました。1尾250円です 3枚におろして、秋刀魚のわたに酒、味醂、醤油で調味して1時間ほど漬け込み、グリルで焼きました 秋刀魚のわた焼き わたの、苦味が程よくマイルドに調味され、クセになる味わいです 艶やかな新米と一緒に 自家製お漬物 土…

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    castle 2009/12/16
    「労働の目的は「適切なしかたで贈与が行える人間になること」」「奉仕しあうことで人が生きていけるようになるには、その人がその集団の一員だという感覚がまず前提にあってこそ成り立ちうる関係なんじゃないかと」
  • 人間はどうして労働するのか - 内田樹の研究室

    『日の論点2010』(文藝春秋)が届いた。 そこに「労働について」一文を寄せている。 こんなことを書いた。 「働くとはどういうことか」 編集部から「働くとはどういうことか」というお題を頂いた。この問いがトピックとなりうるという事実から私たちはさしあたり次の二つのことを推論することができる。 (1)「働くことはどういうことか」の定義について、現在のところ一義的な定義が存在しない(あるいは定義についての国民的合意が存在しない)。 (2)そのことが「うまく働けない」若い人たちが存在することの一因だと思われている。 だが、「働くとはどういうことか」についての一義的な定義や国民的合意が存在しないことを私は特に困ったことだと思っていない。その理路を述べたいと思う。 人間だけが労働する。動物は当面の生存に必要な以上のものをその環境から取り出して作り置きをしたり、それを交換したりしない。ライオンはお腹が

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    castle 2009/12/16
    「(「働くこと」の定義がないことが)「うまく働けない」若い人たちが存在する一因」「労働するのは「贈与する」ため」「その人がなしとげた事の意味は、仕事そのものではなく、それが他者に何を贈ったかで決まる」
  • 内田樹の研究室 : オリジナリティについての孔子の教え

    2024 1月 - janvier 2月 - février 3月 - mars 2023 1月 - janvier 2月 - février 3月 - mars 4月 - avril 5月 - mai 6月 - juin 7月 - juillet 8月 - août 9月 - septembre 10月 - octobre 11月 - novembre 12月 - décembre 2022 1月 - janvier 2月 - février 3月 - mars 4月 - avril 5月 - mai 6月 - juin 7月 - juillet 8月 - août 9月 - septembre 10月 - octobre 11月 - novembre 12月 - décembre 2021 1月 - janvier 2月 - février 3月 - mars 4月 - avril 5

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    castle 2009/10/03
    「孔子は、その(規範的なものの)全てを伝統の創始者としての周公に帰した」「村上龍はかつてすべての小説は「人間が穴に落ちる」「穴からはいあがる/穴の中で死ぬ」という話型でできていると道破したことがある」
  • 増子化対策 - 内田樹の研究室

    共同通信の取材。 テーマは少子化・未婚化・婚活。 同じテーマで何度もしゃべっている。 同じことを何度も書くのも疲れるけれど、基的なことなので、繰り返す。 「少子化問題」というものは存在しない。 例えば、新石器時代に「少子化問題」というものは存在しなかっただろう(その時代に生きたことがないので想像だが)。 その時代の集団において、「最近、みんな結婚しないし、子供が生まれないのはまことに困ったことだ」というような問題があったとは思えない。 そんな問題をかかえた集団は数世代で(はやければ一世代で)消滅してしまったはずだから、そもそもそれが「問題」として意識される暇さえなかった。 「親族を形成する」というのは人間が人間である基礎条件の一つだからである。 それは「労働する」とか「言語を話す」ということとほとんど同レベルの「当為」である。 「最近、みんな労働ないので、困ったものだ」というような悠長な

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    castle 2009/09/13
    「carrying capacityとは一定の環境の中に一種類の生物がどれだけ棲息できるか、その上限数のこと」「人口減少が始まったということは、私たちの集団がその集団の意思として「人口が多すぎるから個体数を抑制しよう」と判
  • 日曜日なので呼吸法をしてみる - 内田樹の研究室

    ひさしぶりの日曜日。 朝寝をして、ゆっくり朝ご飯をべて、少し原稿(「日辺境論」)の続きを書いて、昼過ぎから合気道のお稽古。 ふだんは土曜が稽古日だけれど、たまたま日曜の午後まるまる体育館がとれたので、特別稽古。 時間がたっぷりあるので、まず中村明一さんに習ったばかりの「密息」で呼吸法をやる。 表層筋を使わずに、深層筋だけで深く、沈み込むような呼吸をする。呼気はそれほど違和感がないのだけれど、吸気のやり方がふだんと違う。容れ物の底が抜けたような感じで息がすうっと落ちてゆく。 密息を習った翌日がちょうど能のお稽古の日だった。謡の稽古(『安宅』と『山姥』)をつけていただいたあと、下川先生から「呼吸の仕方がよくなったね」と言われた。さすが専門家である。わずかな変化でも見落とさないのである。 謡はどういう呼吸法なのかお訊ねしてみた。 改まって習ったことはなく、子どものころから大人の能楽師たちの立

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    castle 2009/03/14
    「呼吸法をよくやると動きに「甘み」が出てくると多田先生はよくおっしゃっている。「甘み」というのは言い得て妙である。「柔らかさ」と言うのとは違う~つまり、「甘み」というのはすぐれて時間的な現象」
  • 壁と卵(つづき) - 内田樹の研究室

    村上春樹のエルサレム・スピーチについて二件の電話取材を受けたと書いた。 電話取材というのはむずかしい。 30分ほどしゃべったことを5行くらいにまとめられているコメントの場合には、「言いたいこと」が活字になっているということはほとんどない。 私が「言いたいこと」というよりは記者が「理解できたこと」が書いてある。 場合によっては記者が「言いたいこと」が私の名前で書いてあるということもある。 たぶん読む方もそれくらいに割り引いて読んでくれるだろうから、あまり硬いことは言わないつもりである。 それでも、わずかな字数では意を尽くせないことがある。 私がそのとき言いたかったことをここに書きとめておきたい。 それは「壁」というメタファーについてである。 もっとも一般的な解釈は「壁」を政治的な暴力装置、「卵」をその犠牲者と見立てることである。 もちろん、村上春樹自身もその解釈を否定しているわけではない。

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    castle 2009/02/20
    「「言葉にできる」というのは理解され、共有されるということであり、「かけがえのなさ」「代替不可能性」という「いのち」の定義に悖る。言葉にすることができないものが、私たちひとりひとりの「命」soul」
  • 足元を見よ - 内田樹の研究室

    ジブリが出している「熱風」という雑誌がある。 そこに宮崎駿が2008年11月20日に日外国特派員協会で質疑応答があったときのやりとりが採録されている。 宮崎駿が天才であることに異論のある人はいないだろう。 その天才はつよい思想に裏づけられている。 一読して驚いたのは、宮崎駿もまた「国内市場のサイズ」と「国内需要」を創作のキーワードに挙げていたことである。 宮崎はハンガリーの記者の「日の観客と世界の観客の違いを意識しているか」という質問にこう答えている。 「実は何もわからないんです。僕は自分の目の前にいる子供達に向かって映画をつくります。子供達が見えなくなるときもあります。それで中年に向かって映画をつくってしまったりもします。でも、自分達のアニメーションが成り立ったのは日の人口が一億を超えたからなんです。つまり日の国内でペイラインに達することができる可能性を持つようになったからですか

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    castle 2009/01/13
    「私達にとって考えなければいけなのは)目の前にいる子供達」「そのような問いがなされる当のそのときに他ならぬ「これ」の前に私はいるように宿命づけられているという絶対的な確信」「足元を見ろ。それがお前だ」
  • 「内向き」で何か問題でも? - 内田樹の研究室

    先日、苅谷剛彦さんと対談したときに、日のように「国内に同国語の十分なリテラシーをもつ読者が1億以上」というような市場をもつ国は世界にほとんど存在しない、ということを指摘していただいて、「ほんとにそうだよな」と思ったことがある。 「国内に同国語の十分なリテラシーをもつ読者が一億以上」いるということは、言い換えると、「日語を解する読者だけを想定して著作や出版をやっていても、飯がえる」ということである。 日人が「内向き」なのは、要するに「内向きでも飯がえる」からである。 「外向き」じゃないと飯がえないというのは国内市場が小さすぎるか、制度設計が「外向き」になっているか、どちらかである。 どうしてそんなことを考えたかというと、テレビ政治討論番組で「フィンランドに学ぶ」という特集をしているのを横目で見ていたからである。 フィンランドはノキアという携帯電話のシェア世界一のブランドを有して

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    castle 2009/01/05
    「大国では「シンプルで誰にでもわかる国民統合の物語」をたえず過剰に服用する必要が出てくる」「小国が「したたか」になり、大国が「イデオロギッシュ」になるのは、もっぱらサイズ(人口・経済規模)の問題」
  • 小体な共同体へ - 内田樹の研究室

    お掃除部隊の大活躍で、家の煤払いが一日で終了。 ゑぴす屋タニグチ率いる「お掃除部隊」の諸君の獅子奮迅の人海戦術によって洗濯機の排水溝から野菜室で凍り付いていた賞味期限切れ品まできれいさっぱり片付いた。 うれしいことである。 もともと私はそれほど家を散らかす人間ではない。どちらかといえば、かなり片付け好きな人間である。 だが、家の整理整頓というのは寸暇を惜しんでやるというものではなくて、ゆったりとした気分の中で行い、興が乗って、「よっしゃ、こうなったら徹底的にやるか」というような気合いになっても、それが可能なだけの時間的余裕というものがないとかなわぬのである。現在のようなタイトなタイムテーブルで生きていては、ただ床に散らかっているものをしまいこむ程度のことしかできない。 夏物冬物整理とか、CDとDVDのアルファベット順配架とか、書棚の機能的再編というようなことはまだ遠い夢であるが、とにかく

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    castle 2008/12/24
    「私たちはまた再び私の父親達の世代がそうであったような、社員旅行や週末ハイキングや麻雀を待ちわび、結婚式や法事に集まる親戚や旧友とのやりとりに打ち興じる小体で慎ましい共同体に回帰しつつあるような気が」
  • とっても忙しい週末 - 内田樹の研究室

    師走である。 ほんとうにばたばた西へ東へ走っている。 風邪はようやく癒えた。 週末と来週にかけて最後の「死のロード」があり、はたしてちゃんとおつとめできるかしらと懸念していたのであるが、とりあえず治ってよかった。 土曜日、合気道の稽古をお休みして東京へ。 まずは苅谷剛彦さんと『中央公論』のための対談。仕切りは『大学ランキング』の小林さんと中央公論の井之上くん。 苅谷さんとお会いするのははじめてである。 苅谷さんはこの秋からオックスフォードの先生になられたので、イギリス住まいである。 今回は東大での集中講義のために一時帰国しているところを時間を作っていただいた。 話題はもちろん教育問題。 苅谷さんの『階層化日教育危機』は過去十年のあいだに読んだの中で、もっともインパクトのある書物の一つであった。 「インパクトがある」というのは内容が驚嘆すべきだったというだけではなく、その驚嘆すべきコン

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    castle 2008/12/16
    「社会の上層を占めている人々は「金で全てが買える」と思っていない。むしろ「金で買えないものの価値」について強く意識的な人々が日本では階層上位を形成している」「人間的信義、血縁地縁共同体、相互扶助」