2010年07月06日19:33 カテゴリ本科学/文化 文明の生態史観 梅棹忠夫氏が死去した。本書のコアになっている論文は短いが、日本人論や日本文化論に大きな影響を与えた。これは先日のホリエモンとの対談で話したこととも関連するので、少し説明しておこう。 本書の考え方は、きわめて単純である。図のように、アジアの中心部には広大な乾燥地帯があり、それを支配するのは遊牧民族で、古代文明の多くはこの地帯とその周辺に成立した。彼らはつねに移動しながら、暴力によって動物や他民族を支配する。 これに対して農耕文明を守るために中国(Ⅰ)、インド(Ⅱ)、ロシア(Ⅲ)、イスラム(Ⅳ)では軍事的な専制国家が発達したが、その東西の周縁に位置する日本や西欧などの農耕地域に住む民族は、こうした専制国家の直接支配をまぬがれ、生態系の自生的な遷移(succession)によって農業文明から工業文明に進化した――というのが「