民事訴訟などの裁判記録のうち、歴史史料などとしての価値が高い記録を永久保存するための制度が東京地裁でほとんど活用されておらず、11件しか対象になっていないことが朝日新聞の取材で分かった。最高裁判例につながった著名な訴訟などの資料が廃棄される一方、保存期間が過ぎた後も「廃棄未了」で残されている記録が約270件あるという。 同地裁はこれまでの運用が「適切ではなかった」と認め、「規程にのっとった保存と廃棄を進める」としている。専門家からは「廃棄をすぐにせず、外部の人も入れて判断すべきだ」という指摘が出ている。 記者の問い合わせを受けて同地裁が調べた結果によれば、憲法25条が定める生存権の解釈が争われた「朝日訴訟」や、法廷で傍聴人がメモを取る権利が認められるきっかけとなった「レペタ訴訟」の記録が廃棄され、在外投票を制限した公選法や、国籍法の一部が最高裁で違憲と判断された訴訟、破綻(はたん)した山一