在日韓国人2世で、日本で参政権を持たない芥川賞受賞作家、柳美里さんは投票への思いを発信するたびに「自分の国に帰れ」などと中傷を浴びてきた。戦後3番目の低投票率となった衆院選。自身を「二つの国に掛かる橋の上に立っている」と表現する柳さんの目にはどう映ったのか。(時事通信社会部 太田宇律) 【図解】衆院選の投票率 ー日本の選挙をどんな思いで見詰めていますか。 選挙のときは、いつも各党の政見放送や報道を見ていますが、自分には選挙権がないので、投票という形で参加することはできません。けれど、道を歩けば候補者が演説をしているのを見掛けたり、パンフレットを渡されたりしますよね。小学校低学年のとき、同級生に「お前の家に投票用紙はないだろう」といじめられたことがあって、思えば子どものころからいたたまれない思いをしてきました。特に地方選は生活に直結することが争点になりますから、投票できないことに疎外感を感じ