差別や偏見から当事者を守ることが目的のはずが、逆に差別する側に配慮するような文言が盛り込まれ、厳しい批判を浴びながら成立した「LGBT理解増進法」。ただ、法制定を求めてロビー活動をしてきた団体代表の藤井ひろみさんは「最悪だけど希望はある」と言う。ん? 怒っていないんですか? ――「LGBT理解増進法」の立法過程で、この国の政治が少数派に対していかに無理解で不寛容かを思い知りました。 「本当に苦しい経験をしました。ただ、いろんな反応があって、『この法律はダメだ』と言いながら、うれしそうな当事者もいます」 ――うれしそう……? 「国会というメインストリームの議論に乗ったことがやはり良かった。『性的指向』や、『性自認』とも訳せる『ジェンダーアイデンティティー』が議事録に残る。レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーなど、これまで『unspeakable(口に出せない)』な存在だった