産業政策に名を借りた新たなメディアコントロールではないか。放送に関与し、都合のよい番組を流したい政権の思惑が透けて見える。 政府が検討している放送制度改革案が判明した。通信との垣根をなくし、新規参入を促すのが狙いだ。 その具体的手段として挙げられているのが放送法4条の撤廃である。放送事業者が番組を作る際の原則で「政治的公平」などを明示する。 4条の扱いは、放送と政権の関係が問われるたびに注目されてきた。 放送局が目指す倫理規範とみるのが通説だが、国は行政処分ができる法規範との解釈を取っている。 安倍政権下の2014年衆院選では、自民党が民放とNHKに選挙報道の公平中立・公正を求めた。直前の番組では、首相が自分に批判的な声を集めた街頭インタビューに反発する場面があった。16年には、当時の高市早苗総務相が4条違反で電波停止を命じる可能性に言及した。 このように4条は政治介入を許す口実に使われる