アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)は、12月16日に事実上のゼロ金利を決定した。いまや、日米金利差は逆転してしまった。したがって、日銀が金利引き下げを行なっても、格別の効果は期待できない。 ところで、「現在の日本の状況はケインズ経済学によって理解できる」と前回述べた。ケインズ経済学が提唱する経済政策は、財政拡大だ。それは、現在の日本で意味があるだろうか? これからの日本で生じるのは、輸出という外生的需要の急縮小だ。それに対抗して財政支出を拡大し、経済全体の有効需要の落ち込みを回避するのは、当然ありうる政策である【注1】。 私はこれまで、財政拡大という考えには否定的だった。それは、以下で述べるような「無駄遣いの大盤振る舞い」になることが、現在の日本の政治環境の下では明らかだからである。 しかし、いまは、発想を転換させる必要があるかもしれないと考えている。その理由はいくつかある。