この姿から何を連想しますか、などという質問は野暮だというものだろう。和名もぶどう石。 というわけでそのまんまの形だが、これが基本的な形というわけではない。丸い鉱物の結晶というものは実はないのだ。このプレーナイトも、薄い板状の結晶が肉眼では分からないほどびっしりと球状に並んでいるものだ。 こうした例は鉱物界では非常に多く、以前紹介した立方体結晶が基本のパイライトでさえも球形になっているものがあってびっくりする。それにしてもこのプレーナイトの場合は、色合いもマスカット並だから、最もおいしそうに見える宝の石だと思う。 国産だと結晶がずらりと並んでいるものがほとんどで、球状のものは見ない。写真はアフリカ中西部の国マリ産。マリといえば旧宗主国のフランスがイスラム過激派を軍事攻撃で押さえ込むなど紛争があったが、そんな人間の諍いをよそにかの国の山中には、まだ美しい大地のブドウが眠っているのだろうか