そもそも日本の所得税は、なぜ改革しなければならないか。これには、所得格差是正がうまくできない仕組みになっていることと、働き方が多様化しているのに従来型の働き方(長期雇用の正社員)で稼いだ所得に有利な税制になっていることがある。ほかにもいくつかの理由が挙げられるが、これらは早急に改めなければならないポイントだ。 しかし、所得税改革を着手すると口を開けば、「増税するのか」と疑心暗鬼が広まる。ここで気をつけたいのは、増税が必要だから所得税改革に着手するのではない、ということ。これを政治家が恐れてか、所得税の抜本的な改革に踏み切ることを避け続けてきた。その結果、所得税制で所得格差を是正する機能(所得再分配機能)が弱まり、旧態依然の仕組みが放置され、新しい働き方には控除が適用できないなどのひずみが現れて、今日に至っている。このひずみを改めることが所得税改革の主眼といえる。 同じ収入でも給与と年金で違