朝日新聞が昨年末、宮城県内の沿岸部の市や町を対象に実施したアンケートで、県や市、町が指定する無形民俗文化財のうち、6件が休止中との回答が寄せられた。沿岸部では以前から過疎化や少子高齢化が進んでいたが、東日本大震災によって急激に加速したことが響いた。 ◇ 石巻市雄勝町の名振地区の住民にとって、1月24日は一年の中で特別な日だ。地域に伝わる祭り「おめつき」がある。今年も、漁港近くの名振秋葉神社の石碑前には神社氏子会のメンバーらが集まった。だが、この日、神事を営んだだけで解散した。 氏子会の総代長を務める和泉誠一郎さん(81)は言う。「集落に住む人が減って、前のような祭りは難しくなった。いまは神事だけで終わらせている」 江戸時代に集落が大火に見舞われたことから、火伏せ(火災を防ぐこと)を祈る祭礼行事として約240年にわたって続けられてきたと伝わる。山車が勇壮に練り歩き、途中で行う即興の寸劇が目玉
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