「目には目を、歯には歯を」というのはハムラビ法典の一節だが、この考え方はアラブ諸国のイスラム法にも受け継がれている。これは、誰かに苦しみや傷を与えた者は、同じ苦しみや傷で報いられることを意味する。 ナシュアドさんは、2003年4月当時、サウジ東部のダマム市でガソリンスタンドの従業員として働いていたときに、サウジ国籍の男性といさかいになり、取っ組み合っているうちに相手の右目に失明に至る怪我を負わせてしまった。 ナシュアドさんはまもなく逮捕され、法廷に立たされた。裁判官は、イスラム法の厳格な解釈に基づき、ナシュアドさんの右目を摘出することを罰として言い渡したのである。 幸い、その罰はすぐには執行されなかった。だが、ナシュアドさんは収監された。インドにいる彼の妻がサウジ・アラビア国王に夫を放免してほしいとの嘆願書を送った。さらにアブドラ国王が今年の1月に訪印した際、インド政府の高官が国王にナシュ