中国産および韓国産のキムチに混入していたのは、回虫属の寄生虫の卵だった。本来の宿主がヒトではない回虫(たとえばブタやイヌの回虫)の卵が人間の体内に入ると、厄介なことになる。本来の生育環境と異なるため、幼虫から成長できずに、体内のあちこちの臓器をさまよう。「幼虫移行症」と呼ばれる。 担当の医師たちによれば、最初、回虫は女性の腸内にいたが、血流に乗って眼窩に移動してきたのではないかという。また、セルビアはおろか、欧州全体を探しても、ブタの回虫がヒトの眼窩から摘出されるのは、今回が初めてではないかとのこと。 摘出された回虫は体長11センチだった。ブタ回虫の成虫は雄が体長15〜25センチ、雌が体長20〜40センチに達するというので、摘出されたのは幼虫だったと思われる。つまり、この女性患者は「幼虫移行症」にかかっていたことになる。 いや、“かかっていた”と過去形で言うのは早計かもしれない。一匹しか体