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痴漢を阻止できなかった男の話
今日、帰宅の電車の中で、痴漢の現場に遭遇した。 それに遭遇するのは自分は初めてだった。 自分は、な... 今日、帰宅の電車の中で、痴漢の現場に遭遇した。 それに遭遇するのは自分は初めてだった。 自分は、なにもできなかった。 ただ、見ていただけだった。 自分は26歳。男。 ふだんは感情はほとんど上下しない。淡々と日常を送っている。 就職活動で失敗しても、失恋しても、心にダメージはほとんど残らない。 そんな自分のなかで唯一、激しく心が動揺するのが、性犯罪の事件を見聞きしたときだ。 痴漢の話を聞くたびに心の底から胸糞が悪くなり、そして必ず「その現場に俺がいたら、絶対に阻止してやるのに!」と憤っていた。 俺は、車両の後ろの方から、その異変に気づいた。 座席はほぼ乗客で埋まっているが、立つ乗客はあまりいない程度に、空いた車内だ。 自分からみて、3つくらい前方の席だろうか。二人掛けの席のうち、窓側にはお姉さんが座っている。そして通路側には、生理的に気持ち悪い、中年のオッサンが座る。 ただし――明らかに異常
2010/07/12 リンク