記者の目：LGBT理解増進法案見送り 性の議論、正確な知識で＝藤沢美由紀（デジタル報道センター） | 毎日新聞

自民党本部前で同党議員による性的少数者への差別発言に抗議する人たち＝東京都千代田区で2021年5月30日午後6時59分、渡部直樹撮影 LGBTなど性的少数者に関する国民の理解を増進するという「LGBT理解増進法案」は、議論の過程で自民党議員から差別発言が飛び出した上、反対意見に配慮した自民党が通常国会（16日閉会）への法案提出を見送り、頓挫した。性的指向や性自認の多様性を尊重することは命と人権の問題であり、無知と誤解に基づく一部議員の言動には失望した。こうした偏見があるからこそ、差別的取り扱いを禁止する法律が不可欠だ。 5月30日、自民党本部前では、法案提出の見送りや差別発言に抗議するデモが行われた。「たくさんの命が奪われています」と訴えたのはトランスジェンダー男性の浅沼智也さん（32）だ。知り合いには自殺未遂の経験がある当事者が少なからずおり、中には亡くなった人もいた。出生時の戸籍上の性

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”野党側は行政機関や事業者による差別の禁止を定めた「差別解消法案」、自民党は「差別禁止ではなく理解増進」を求め、両者の考えには隔たりがあった。“