Ｉｎｔｅｒｖｉｅｗ：長谷川陽子 デビュー35年、感謝込め ベートーベンのチェロソナタ全曲に挑む | 毎日新聞

日本を代表するチェリストの長谷川陽子がデビュー35周年を期して、ベートーベンのソナタ全5曲に挑む。東京で全曲演奏リサイタルを開くのに続き、月末には日本アコースティックレコーズから2枚組みCDを発売。「まるで別の世界に入ってしまったようなコロナ禍の中で、私を励まし、音楽を取り戻させてくれたのがベートーベンでした。その楽譜は『大丈夫、出口はある』と、心を照らしてくれる。誰もが不安を抱えている今こそ私の経験の全てを込めて、彼の潔さ、誠実さ、そして圧倒的な生命力を奏でたいと考えたのです」 バッハの無伴奏組曲がチェロ界の「旧約聖書」と呼ばれるのに対し、ベートーベンのソナタ5曲は「新約聖書」にたとえられる。若書きの2曲は「自身が得意としたピアノのほうが前面に出ていて、天真らんまん。まだ貴族の時代で、宮廷音楽の名残も色濃い」。それから歴史は大きくうねり、庶民の革命思想に共感した作曲家は、音符に感情を発露