妻に先立たれた60代夫「年金繰り下げ」なぜできない？ | 人生１００年時代のライフ＆マネー | 渡辺精一 | 毎日新聞「経済プレミア」

年金繰り下げの戦略と注意点（3） 老齢年金の受給開始時期を遅らせる「繰り下げ」は、年金額を増やすことができるため、老後資金の計画に活用を検討する人が増えている。だが、年金制度上、繰り下げを活用できないケースがある。不合理と思われるルールもあり、政府には、実情に見合った制度の整理や丁寧な説明が求められる。注意したいケースを解説する。 厚生年金版「扶養手当」との関係 老齢年金は原則65歳から受け取れるが、受給開始を66～75歳に繰り下げることができる。1カ月遅らせると毎月の年金額は0.7％増え、75歳で84％増になる。繰り下げは、老齢基礎年金（国民年金）と老齢厚生年金で別にできる。 公的年金は終身受け取ることができ、物価や現役世代の賃金などに応じて給付額が決まるためインフレに比較的強い。額が増えれば人生終盤期に老後資金の安心感が高まる。 繰り下げへの関心は高まっている。2022年度に国民年金の