優良な遺伝子を掛け合わせ、より強い存在を作る、そして弱い遺伝子を持つ存在を淘汰する――映画『劇場版ポケットモンスターミュウツーの逆襲』に登場した、最強のポケモン・ミュウツーは、なぜ「優生思想」に陥ってしまったのか? 架空の話とはいえ、その物語るところは深刻だ。ゲノム編集の現在と、自分を創り出した人間に対するミュウツーの怒り、深い悲しみについて、哲学研究者・戸谷洋志氏の新刊『親ガチャの哲学』(新潮社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む) ゲノム編集の衝撃 2020年、エマニュエル・シャルパンティエとジェニファー・ダウドナに、ノーベル化学賞が贈られました。二人の主な功績は、生物の遺伝情報を指す「ゲノム」を自在に書き換えることのできる、「ゲノム編集」の新たな手法を発明し、確立したということです。 その手法が、「CRISPR-Cas9」です。これは、従来の遺伝子操作の手法より
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