このコラムの読者であれば、「アマゾン」と聞いて、南アメリカの大河を思い浮かべる人は少ないだろう。もちろん、ここでいうアマゾンは、アメリカ最大の電子商取引会社のことだ。 同社が日本でサービスを開始して10年になる。アメリカで創業してから15年、日本では10年の歴史しかないのに、書籍の販売量でみればおそらく日本で最大の書店に成長しており、その売り上げ規模以上の影響を出版業界に与えている。 いま出版業界で、書籍が出版される前にその概要や内容を伝える「近刊情報」を収集・配信するためのインフラ作りが進んでいるが、これもアマゾンの影響の一つといってよいだろう。 ●アマゾンの成功を呼んだ米国直輸入の予約販売 具体的には、出版社、取次、書店の業界団体が運営する日本出版インフラセンター(JPO)という業界機関が、出版社が登録する「近刊情報」を取次や書店に提供する「近刊情報センター」を4月に設立するため