「塀の中」での不可解な出来事 三重刑務所(三重県津市)は、明治の未決監獄時代から150年の歴史を持つ、日本におけるもっとも古い刑務所のひとつである。 3月某日、午前8時30分。施設の正門から、荷物を手にした6人の男たちがひっそりと出獄を果たした。この日は週に1度の「仮釈放デー」。そこには、模範的な受刑者が満期を待たずしてシャバに戻る「歓喜の朝」の光景があった。 「5キロも肥えてしまいました」 そう語るのは、この日出所した元競艇選手の西川昌希氏(33歳)である。 約3年前の2020年1月、西川氏は共犯者とともに名古屋地検特捜部に逮捕された。レースにおいて故意に着順を落とし、共犯者が舟券を購入する手法の「八百長」を認めた西川氏は懲役3年の実刑判決を受け、この刑務所に服役していた。 1日の摂取カロリーが厳格に制限されている刑務所では、受刑者たちの多くが体重を落とすことになる。だが、競艇選手だった