小友康広さん、32歳。ひと月の半分を岩手・花巻の家業の社長として働き、もう半分を西新宿の高層ビルで、IT企業の役員として働く。家業の「小友木材店」は、花巻に110年続く老舗材木店。小友さんは4代目の代表だ。 一方、東京都庁近くの高層ビルの一角にある、「スターティアラボ株式会社」というIT企業の開発担当役員も務める。田舎と都会、伝統産業と最先端産業、どちらも重責を担う立場。究極とも言えるダブルワークをこなしながら、この春から立ち上げた株式会社花巻家守舎。その新しいチャレンジへの想いを伺った。 東京に進学して、地元の良さを再確認する 小友さんは老舗木材店「小友木材店」の長男として生まれた。 「僕は父から『木材店を継げ』ということは全く言われなかったんです。父は、自分が祖父から『継げ』と言われて育ってきたから、息子である僕には、あまりそういうことを言いたくなかったんでしょうね。」 大学進学の際、