今日の横浜北部は曇は多めですが、それでもけっこう晴れております。それにしても蒸し方が半端ないですね。 さて、またまたメルマガを更新しましたのでお知らせします。 今回は尖閣諸島をめぐる潜在的な日中紛争の可能性と、そこから必要になってくると見られるリーダーの資質について考えてみました。 クラウゼヴィッツについては今月25日のクラウゼヴィッツ学会の発表や、来月提出する予定のある本の中の一章など、なぜか最近再び考えさせられているテーマになっておりまして、これが今の日本政府の対応の仕方を考える際にも参考になりそうだと感じております。 ということで、興味のある方はこちらまで! ↓ ▼クラウゼヴィッツが説くリーダーの資質▼
常磐大学のこども教育学科の新設記念の記念講演で、学校教育とグローバルリスクについて話してきたら、翌朝の毎日新聞に西水恵美子さん(元世界銀行副総裁)がグローバルリスクについて書いていた。 西水さんはブータンが人口70万の小国であり、かつ多民族・多言語国家でありながら、よくその国民的統合を保ち得たのは、先王雷龍四世の国民国家観が堅牢だったからだとみている。 王は1989年の勅令にこう記している。 「国家固有のアイデンティティーを守る以外、独立国家の主権を擁護する術を持たない。富や、武器、軍隊が、国を守ることはできない。(…) 異邦文明を避け、我らの文明を献身的に責任を持って慣行とせねばならない。」 よく知られた「国民総幸福」(Gross National Happiness)という概念はこの王の提唱したものだが、「文明の持続的発展を国政の中心に置く」ものである。 日本の国民国家としての危機はま
半月ほど前に、東京で「プレス民主」(民主党の機関誌)のインタビューを受けた。「窓」というコーナーで、党外の人に広報委員長の有田芳生さんがインタビューするという趣向のもの。 たぶんあまり一般読者の目にとまるチャンスのない媒体だと思うし、長すぎたので一部削除されていたので、ここにオリジナルヴァージョンを再録しておく。 「民主党への建設的提言 各界識者に聞く」 最終回 今求められているのは国の統治機構について率直に言えるリーダー (聞き手 有田芳生 参院議員) ――民主党への建設的提言ということですが、今朝ツイッターで「今や、民主党に言いたいことはない」と書かれていました。まずはその理由からお聞かせください。 内田 2009年の政権交代後の鳩山さんの最初のスピーチを聞いたときは非常に期待しました。「これまでとまったく違う政治になる」「時代は変わる」と。 しかし、沖縄の普天間基地問題をめぐり、メデ
ある媒体で、「いじめ」についてコメントした。それは昨日のブログに書いた通り。 それについて追加質問が来たので、これも追記として書き留めておく。 Q: 学校という場は社会の雰囲気とは切り離されたものではなく、一定程度の影響を受けていると思います。現実に、リストラが激しくなる一方ですし、1分1秒ごとに自己成長を求められる息苦しい世界になりました。この状況にあって、学校だけを過度な競争社会から切り離してある種のユートピアにすることは可能なのか、それとも競争を是とする今の社会を根底から変えない限り、社会に蔓延するいじめ体質はなくならないのか。この点はどう思われるでしょうか。 A: 学校は本来は苛烈な実社会から「子供を守る」ことを本務とするものです。それは学校というものの歴史的発生から明らかだと思います。 ヨーロッパで近代の学校教育を担った主体のひとつは、イエズス会ですけれど、それは「親の暴力から子
ある媒体から、大津市のいじめについてコメントを求められた。 書いたけれど長くなったので、たぶん半分くらいに切られてしまうだろう。 以下にオリジナルヴァージョンを録しておく。 今回の事件はさまざまな意味で学校教育の解体的危機の徴候だと思います。 それは学校と教育委員会が学校教育をコントロールできていないということではなく、「コントロールする」ということが自己目的化して、学校が「子供の市民的成熟を支援する」ための次世代育成のためのものだということをみんなが忘れているということです。 私の見るところ、「いじめ」というのは教育の失敗ではなく、むしろ教育の成果です。 子供たちがお互いの成長を相互に支援しあうというマインドをもつことを、学校教育はもう求めていません。むしろ、子供たちを競争させ、能力に応じて、格付けを行い、高い評点を得た子供には報償を与え、低い評点をつけられた子供には罰を与えるという「人
(英エコノミスト誌 2012年7月7日号) アジアでは性差別が横行している。そうした状況は、差別的でない企業にチャンスをもたらす。 欧米では、女性は一般に上級管理職や取締役会の10~20%を構成している。彼女たちは比較的恵まれている。コンサルティング会社マッキンゼーの報告書は、アジアの女性は大きく後れを取っていることを示している。 例外もある。オーストラリアでは、取締役会や執行委員会の業務に携わる女性の割合は、概ね、米国や一部の欧州諸国の水準に匹敵する。シンガポールでも、上級管理職の女性は大勢いる(図参照)。 だが、それ以外の国の状況は惨憺たるものだ。その理由は必ずしも、当該国が貧しいからではない。日本や韓国――どちらも豊かな国――では、女性が取締役会に名を連ねる確率は、男性がお茶を出す確率と同じ程度だ。 労働参加率の低さや教育の不平等も アジアで一握りの女性しか割のいい仕事に就けない原因
(2012年7月12日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) カリフォルニア州の広大なインランドエンパイア地域にある比較的大きな都市の1つ、サンバーナーディーノは、恵まれた気候と緑に覆われた景観、そしてチャック・ベリーの1961年のヒット曲「(ゲット・ユア・キックス・オン)ルート66」に名前が出てくることでよく知られている。 だが、破産申請することを宣言した今、サンバーナーディーノは、この数週間で債権者からの保護を求めるカリフォルニア州内3番目の都市になったことで評判になっている。 ストックトン、マンモスレイクスに続きサンバーナーディーノも破産申請 サンバーナーディーノは、北部カリフォルニアにあるストックトンとマンモスレイクスの仲間に加わり、もはや債務のすべてを返済する余裕はないと当局者たちが結論付けた後に破産保護を求めることになった。 暗い雇用見通しと住宅市場の崩壊によって悪化した縮小する税
(2012年7月12日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) ブラジルの5月の小売売上高が、金融危機が始まって以来最大となる予想外の落ち込みを見せ、世界第2位の新興国経済に残された明るい材料への不安が高まっている。 5月の小売売上高は前月比で0.6%前後増加すると予想されていた。ところが政府が11日に発表した統計では、小売売上高は0.8%減少し、月間ベースで2008年11月以来の大きな減少幅となった。 ブラジルの消費者は、賃金が上昇し、融資を受けやすくなったおかげで、この10年間のブラジルの成長の主な原動力の1つとなっており、金融危機の最悪期にブラジル経済が景気後退に陥るのを防ぐ助けになった。 消費者主導の成長モデルの限界? しかし今、ブラジルの消費者主導の成長モデルが有効期限に近づいているとの懸念が高まっている。ブラジル人が借り入れを増やすのに苦労するようになり、5月に過去最高を記録したデフ
(英エコノミスト誌 2012年7月7日号) ユーロ圏に関する不確実性があと数カ月続く見通しが世界経済に重くのしかかる。 欧州の指導者たちは6月28~29日にブリュッセルで欧州連合(EU)首脳会議を開いた際、果てしなく続く債務危機への対応で予想以上に大きな進展を遂げた。 各国は何よりも、新しい恒久的な救済基金が、政府経由ではなく、不振に喘ぐ国の銀行に直接資本を注入することを認めた。また各国は、以前のような厳しい条件を課さずに、救済基金が悪戦苦闘する国の国債を購入することも可能にした。 会議の後、ユーロはすぐさま上昇した。株式市場はいくらか元気を取り戻した。原油価格は急騰した。スペインとイタリアでは国債利回りが低下した。 アイルランドでも、銀行部門の問題解決に要した多額の費用が過去にさかのぼっていくらか軽減されるとの期待感から、国債利回りが急低下した。それを受けて、アイルランド政府は7月5日に
(2012年7月11日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 2007年8月に金融不安が突如、無防備な世界を襲ってから、もう5年近く経つ。では、危機に見舞われた高所得国の調子はどんな具合だろうか? 調子は悪い、というのが唯一の答えだ。 6大高所得国(およびユーロ圏)のうち、米国経済とドイツ経済だけが過去のピークを上回っている。米国は初期のショックの震源地だったことから、景気回復が比較的力強かった。とはいえ、どの高所得国も自国の経済動向に満足することはできない。 積極的な政策を講じても浮上できない高所得国 米国の国内総生産(GDP)は他国のそれより堅調だったが、失業率は2007年7月の4.7%から2009年10月の10%へと2倍以上に跳ね上がった。それ以来、失業率はわずかに低下しただけだ。 だが、米国の経済動向はそれでもユーロ圏よりはましだった。ユーロ圏の経済は停滞し、直近の失業率は11.1%と
(2012年7月11日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 日本企業の社長の計画が、中国の独裁者だった毛沢東のスローガンを思い出させるということは、そうあることではない。 しかし、パナソニックの再生を託されて先日新社長に就任した津賀一宏氏が掲げる最重要戦略には、かつての中国共産党主席が用いたスローガンをなぜか連想してしまうものが2つ含まれている。 「司令部砲撃」と「百花斉放・百家争鳴」 まず思い浮かぶスローガンは「司令部を砲撃せよ」だ。これは毛沢東が1966年、左翼革命の障害になっている一派が共産党本部にいると見なし、これを攻撃すると表明した際に用いた言葉だ。 津賀氏は好感の持てる人物であり、狂信的な紅衛兵の一団を大阪府のパナソニック本社に向かわせようとしているわけではない。しかし、手加減しているわけでもない。 津賀氏は、本社のスタッフは「付加価値の重要性」を分かっていないし「社内の交渉に明
この課題は、7月9日にカンボジアで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議でも最大のテーマとして討議されたが、米国の首都での取り組みはまた別の意味を持つ。超大国の米国がこの紛争に深くかかわり、その背後に立つ中国との鮮明な対峙を描くことになりかねないからだ。 中国が関与する領有権紛争は、言わずもがな、日本にとっても大きな意味がある。中国が尖閣諸島の領有権を主張するからである。 南シナ海のすべての諸島、環礁の領有権を主張 ワシントンでの南シナ海領土紛争論議は6月末、2日間にわたった「南シナ海の海洋安全保障」と題する国際会議で熱っぽく展開された。 会議の主催は米国の大手シンクタンク「戦略国際研究センター(CSIS)」だった。基調演説はオバマ政権のアジア担当、日本でもおなじみのカート・キャンベル国務次官補と、議会の長老、ジョセフ・リーバーマン上院議員である。 キャンベル次官補の演説は、言葉
カスタマーサービスに連絡してくる消費者の身になって考えたいという企業もあれば、そういうことに疎い企業もあるが、ジェフ・ベゾス氏は、消費者からの電話にどう対応するかが問題ではないと言う。 「カスタマーサービスをやっている時点でもう遅すぎる」。アマゾン・ドットコムの創業者であるベゾス氏は昨年、ニューヨークで行った講演でこう語った。 「最高のカスタマーサービスとは、顧客が電話をしなくて済むようにすること、連絡なんか取らなくても済むようにすることだ。とにかく、それでうまくいく」 例えば、アマゾンがミスをして、傷の付いた商品が消費者の手元に届いてしまったら、同社は代わりの商品を発送しておしまいにするのではなく、ミスが生じた根本的な原因の修正に乗り出す。同社は過去17年間、このプロセスによって苦情の電話がかかってくる注文の比率を着実に引き下げてきた。 このアプローチは、ベゾス氏が同社に浸透させてきた仕
(英エコノミスト誌 2012年7月7日号) ドイツ最大の自動車メーカーがライバル企業を大きく引き離している。 1993年にフェルディナント・ピエヒ氏が最高経営責任者(CEO)としてフォルクスワーゲン(VW)にやって来た時、事態は深刻に見えた。VWは支出過剰、人員過剰、非効率に陥っており、品質に対する評判を失っていた。 以来、状況は一変した。昨年、VWグループの利益は2倍以上に拡大し、過去最高の189億ユーロ(238億ドル)に達した。他の欧州量産車メーカーが工場閉鎖や人員削減を模索する中で、VWは欧州市場でシェアを伸ばし、中国で急成長を遂げ、米国で復活劇を演じている。 同社は2016年までに新型車と新工場に760億ユーロの投資を行う予定だ。全世界の従業員数は50万人以上に上り、増加し続けている。 再建を果たし、世界帝国を築くピエヒ会長 現在は会長だが、今もしっかり経営のハンドルを握っているピ
(2012年7月9日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 津波に見舞われた福島第一原子力発電所の事故を調査する委員会のトップ、黒川清氏は、この原子力危機の根本的な原因は日本文化の欠点にあると考えている。果たして本当にそうなのだろうか? この問いの答えは全世界にとって重要だ。福島第一原発では昨年3月に原子炉がメルトダウン(炉心溶融)を起こし、この四半世紀で世界最悪となる原子力危機に発展した。 同原発がなぜこれほど脆弱だったかを理解しておくことは、各地にあるほかの原発での事故を防ぐうえで極めて重要なことになる可能性がある。 事故の背景に文化的な欠点の兆候を見いだすのは容易だが・・・ 黒川氏は医学博士で、日本学術会議の前会長でもある。今回の災害が「日本製(メード・イン・ジャパン)」だったと主張するための弾薬には事欠かない。 黒川氏の率いる国会事故調査委員会はその最終報告書で、規制当局と電力業界が甘
(2012年7月9日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 欧州理事会から「歴史的」な声明文が発表された後にリスクの高い資産を買うのは一体どんな人たちなのか、筆者はかねて不思議に思っていた。声明を材料にした上昇相場は数時間で終わることもあれば、数日間で終わることもある。 先日の上昇相場は1週間もたなかった。イタリア国債とスペイン国債のスプレッド(利回り格差)は今、首脳会議前のレベルを上回っている。 間違った方向に大きく踏み出したEU 欧州連合(EU)は先の首脳会議で、銀行同盟に向けた道筋で合意して正しい方向に重要な一歩を踏み出したが、危機の解決については十分なことができなかった、というのが識者や市場関係者のコンセンサスだった。 これには同意できない。筆者はむしろ、EUは間違った方向に非常に大きな一歩を踏み出したと考えている。 今回の首脳会議は危機解決に向けて具体的な決断を下したが、これは将来の
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