(英エコノミスト誌 2010年2月27日号) 世界経済におけるアジアの重みは増しているものの、一般に考えられているほどの勢いで経済力がシフトしているわけではない。 世界経済の重心が東方に移っているという話は、今に始まったことではない。だが、今回の世界金融危機が、経済の覇権が米国および西欧諸国からアジアへとシフトする動きを大きく後押ししたとする声は多い。 アジアの新興国は先進国よりもずっと早く景気後退から脱した。アジアの銀行システムと債務動学も西側よりはるかに健全な状態にある。中国は2009年にドイツを抜いて世界最大の輸出国となった。ある指標で見れば、中国は今後10年以内に世界最大の経済大国になる見込みだ。だが現実問題として、経済力はどれほどアジアにシフトしたのだろうか? 銀行や企業にとって、アジアの重要性が増しているのは間違いなく、2009年の企業収益全体に占めるアジア地域の割合は過去最大