(日経ビジネス2017年5月29日号より転載) 重要な発明が他の発明と結びついてさらに加速度的に技術が進化する「収穫加速の法則」がちょっとした話題になっている。産業の大きな変化は、決して未来の話とは言い切れないのだ。訪れるのは豊かな未来なのか──AI(人工知能)に薄ら恐ろしさを感じる人にもおすすめの、5年後に備えるための3冊を紹介しよう。 帯に「人類の生活と常識は、根底から覆される!」と刺激的な文言が並ぶのが『第四次産業革命 ダボス会議が予測する未来』だ。自動運転、3Dプリンター、先進ロボット工学、新素材を4つのメガトレンドと定義して、訪れるであろう技術の進化を予測する。 『第四次産業革命 ダボス会議が予測する未来』 クラウス・シュワブ著 世界経済フォーラム訳 1500円(日本経済新聞出版社) ダボス会議の創設者が有識者とのディスカッションで、これから起こる次の産業革命について解説する。
「片道1時間以上の顧客とは取引しない」――。産業用自動機械の設計・製作を手掛けるスズキ機工(千葉県松戸市)の事業戦略だ。同社の鈴木豊社長が体験した「ある事件」をきっかけに始めたこの戦略。結果として同社の取引先は半減したが、売上高は4倍以上になった。「真面目に働いているのに、ちっとも利益が上がらない。誰かにその理由を教えてほしい」。そんな鈴木社長の悩みを一気に解決し、町工場の働き方改革にもつながった「距離」で取引先を絞る戦略とは。 「当社から片道1時間以上かかる場所にあるお客様からの仕事は、お引き受けしません」。産業用自動機械の設計・製作を手掛けるスズキ機工(千葉県松戸市)は、自社の事業戦略をこう掲げる。 車で1時間以上かかる企業からの仕事は丁重に断る。移動時間が1時間以内の顧客なら、密接な関係を構築することができ、ライバル企業の追随を許さない商品、サービスの提供が可能になる、というのが鈴木
取材・執筆に予想以上の時間がかかってしまった拙著『スーパー望遠鏡「アルマ」の創造者たち』(日経BPコンサルティング刊)が、やっと発売にこぎつけました。 2014年のとんでもない革命 2014年11月、国立天文台が発表したとんでもない天体観測画像がある。 その画像は、アンデス山脈の標高5000mに完成した巨大電波望遠鏡、「アルマ」がとらえた観測画像で、「天文学の革命」とすら呼ばれている。 残念ながら日本では一般にはほとんど知られないままだが、欧米のメディアでは繰り返し伝えられている画像なのである。 中心部の明るい星を幾重もドーナツ状のものが取り巻いているその姿は、私たちの太陽系の誕生時を彷彿とさせる。 この同心円状の部分は、いずれも塵からなる円盤だ。 この円盤がさらに凝集して地球のような惑星が作られることが伺えた(すでに惑星ができている可能性もある)。 地球も含めた惑星は、マイナス200℃以
AI(人工知能)による産業構造の激変が始まった。 売り上げ規模など従来の序列は全く関係ない。対応できない既存勢力は没落する。強固なピラミッドを持つ自動車産業とて安泰ではない。AIによる自動運転の実用化が、激変の号砲となる。 5月10日にトヨタ自動車とAIによる自動運転で提携したのは、半導体世界シェア10位以下の米エヌビディア。自動車業界と半導体業界にとって、序列の崩壊を象徴する提携である。 エヌビディアは長らく、ゲーム用半導体というニッチ産業のプレーヤーの1社に過ぎなかった。まさに「知る人ぞ知る」存在だった同社は、AI時代の寵児になりつつある。 ただし、同社のAI用半導体メーカーとしての実力はいまだベールに包まれている。4月、日経ビジネスはメディアとして世界で初めて、米エヌビディアを密着取材した。 AIによる世界制覇の攻防──。特集第1回は、その主役の1社であるエヌビディアの実像を詳報する
サントリー美術館で開かれている「小田野直武と秋田蘭画」展の会期が始まる前日に開かれたプレス内覧会でのこと。江戸時代中期の秋田藩士、小田野直武(1749~80年)の絵の一枚をたまたま隣で見ていたある出版社の編集者の口から、こんな言葉が出てきた。 「うまいですねえ!」 筆者も共感した。そもそも現代まで残っている絵には「うまい」作品が無数にある。その中で、直武の「うまい」には格別感があった。そこではたと思ったのは、直武の「うまい」とは何だったのだろうかということだ。改めて考えてみた。 「うまい」という言葉は、美術においてはしばしば、具象画において描いた対象が見た目に近く描かれているときに使われる。逆にたとえば人間の顔で目の位置が左右ちぐはぐだったり、鼻が実物の人間にはありえないほど大きかったりすると、「デッサンが狂っている」などと言われてしまう。 とはいえ、最近はピカソのように、写実的ではない描
堀江貴文氏がロケットビジネスへの参入を表明して10年。超格安ロケットを開発し、衛星ビジネスの価格破壊を目指す。マスク氏やベゾス氏も参入するロケット市場だが、勝算はある。 その男は長野刑務所を出るとすぐに飛行機に飛び乗り、北海道の「とかち帯広空港」へ向かった。空港から自動車で南に走ること約40分。宇宙航空研究開発機構(JAXA)がロケットの実験場を置く大樹町は、人口約5700人の小さな「宇宙の町」だ。自動車を降り、大きく息を吸い込む。この日をどれだけ待っていたことか。 男の名は、堀江貴文(43歳)。2013年3月27日に出所して、そのわずか2日後に液体燃料小型ロケット「ひなまつり」の打ち上げ実験に立ち会った。 堀江は“ホリエモン騒動”に明け暮れていた当時から宇宙ビジネスに並々ならぬこだわりを持っていた。2005年には、超小型衛星(重量50kg以下の衛星)を低価格で打ち上げる小型ロケットの開発
減損、のれん、見積もり…。東芝の不正会計問題では、一般的には馴染みにくい会計用語が飛び交う。一体、減損とは何か?のれんを圧縮するってどういう意味か?難しい会計用語を解き明かしながら、東芝問題をもう一度検証する。 東芝の屋台骨を激しく揺さぶる米原子力子会社、ウエスチングハウス(WH)の減損問題。WH単体で2012年度に約9億3000万ドル(約762億円、当時の為替レートで換算=以下同)、2013年度に約3億9000万ドル(約394億円)もの減損を計上しながら、東芝はそれを連結に反映していなかった。 減損額は合計すると13億2000万ドル(約1156億円、現在の為替レートで計算すると約1600億円)と巨額であり、この2年間はWH単体で赤字にも陥っていた。こうした事実を本誌(日経ビジネス)が指摘するまで東芝は開示してこなかった。本来であれば、子会社の損失が連結純資産の3%以上あった場合、上場会社
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く