厚生労働省は11月25日、障害者総合支援法に基づく就労継続支援A型、B型について、2018年度の平均賃金・工賃を明らかにした。 障害者が雇用契約を結んで働くA型は平均賃金が月額7万6887円で、前年度比2802円(3・8%)増えた。雇用契約を結ばずに働くB型は平均工賃が月額1万6118円で、前年度比515円(3・3%)増えた。 同日の社会保障審議会障害者部会(座長=駒村康平・慶應義塾大教授)に報告した。都道府県別に見ると、A型の平均賃金は茨城、滋賀の2県で前年度より下がった。B型の平均工賃は前年度全国で最も高かった福井県など5県で下がった。 18年4月の障害報酬改定により、事業者が受け取る報酬は、A型の場合、障害者の平均労働時間が長いほど高くなるよう設定。B型は障害者の平均工賃が高いほど高くなるようにした。この改定が影響して、賃金・工賃が全国平均で上がったとみられている。 就労継続支援のサ
発達障害者、肢体不自由者の立場を含め、構成員は21人 視覚障害者らの読書環境を改善する「読書バリアフリー法」に基づく国の基本計画作りが11月19日、始まった。日本点字図書館など複数の視覚障害関係団体は、点訳・音訳ボランティアの確保が困難だと指摘。その養成を市町村の「任意事業」ではなく「必須事業」にすること、有償で担ってもらえるよう財源確保することなどを求めた。 同計画は、文部科学省、厚生労働省が作るよう同法が義務付けた。同日、両省が「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る関係者協議会」(座長=中野泰志・慶應義塾大教授)を立ち上げ、骨子案を示した。2020年3月に、20年度からの5カ年計画として公表する予定だ。 地方自治体は、同計画を踏まえた地方計画を作ることが努力義務になっている。 同法は今年6月、議員立法により成立。正式名称は「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」で、この場
地域共生社会へ「交流」と「参加」の機会を創出 市町村の新事業 骨子〈厚労省〉 2019年11月26日 福祉新聞編集部 厚生労働省は11月18日、地域共生社会の構築に向けた、市町村による新たな事業の骨子を明らかにした。「断らない相談支援」「参加支援」「地域づくり」の三つを一体的に実施できるよう交付金を設ける。住民の交流や参加の機会を創出する「地域づくり」については、福祉以外の政策領域との連携重視を明確に打ち出した。新事業は社会福祉法に市町村の任意事業として位置付ける方針。2020年の通常国会に改正法案を提出する。 新事業の骨子は、同日の「地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会」(座長=宮本太郎・中央大教授)に、最終報告の素案として示した。12月10日の次回会合で最終報告をまとめる。 新事業は、18年4月施行の改正社会福祉法が、市町村の努力義務とした「包括的な支援
「福祉の支援」を法律に位置付けるよう要望する財前氏(左端) 福祉の国家資格を持つ人の活動を支える、超党派の「地域共生社会推進に向けての福祉専門職支援議員連盟」(会長=田村憲久・元厚生労働大臣)が12日に第2回総会を開き、災害時の福祉専門職による支援をテーマに議論した。 全国社会福祉協議会などが、災害救助法に「福祉の支援」を位置付けるよう政府に要望したことを受け、田村会長は「災害に対し、保健・医療とともに福祉が対応できる体制をつくらなければならない。これから各団体と調整しながら議連の役割を果たしていきたい」と応じた。 被災地支援に当たった民間団体の立場から、財前民男・全国社会福祉法人経営者協議会災害支援特命チームリーダー(社会福祉法人クムレ理事長・岡山県)は、2018年の西日本豪雨の経験を報告。 「2次災害を防ぐことが福祉専門職の役割だ。そのためには平時からの体制整備が必要で、災害救助法に『
楽しそうに食事をする入所者たち 大分市の社会福祉法人博愛会(釘宮卓司理事長)が運営する障害者支援施設「第一博愛寮」(定員80人)にこのほど、施設利用者専用のランチレストラン「CAFEANDRESTAURANTLEI(れい)」と「和食処 和(わ)」がオープンした。 施設利用者がメニューの中から自由に注文できる、全国でもあまり例を見ない「ノーマライゼーションを体現する食堂」と博愛会は話している。 第一博愛寮は1982(昭和57)年の建築で老朽化していたことから改築工事が行われ、昨年11月に完成した。RC造りの管理棟と木造平屋建て1棟と、木造2階建て1棟に84部屋がある。障害の特性ごとのユニット四つの構成で、全室トイレ付きの個室タイプに一新された。 博愛会の釘宮謙悟・事務局長は「入所施設は閉鎖的で暗く寂しい場所というイメージを持たれがちだった。社会に開かれ、プライバシーも保てる『やさしさ日本一の
東京都は9月20日、引きこもりの人を支援するために「東京都ひきこもりに係る支援協議会」を立ち上げた。引きこもり状態の長期化・高齢化が社会問題となる中で、当事者やその家族の状況に応じた支援のあり方を探る。2020年5月をめどに提言の骨子をまとめ、10月には支援の方向性を明らかにする。 都は、電話や訪問相談などによる支援「ひきこもりサポートネット」を04年から開始。当時は主に若年層を対象にした事業だったが、徐々に中高年世代の引きこもり当事者の相談が増えたことを受け、今年度から事業を福祉保健局に移管した。 今年度からは、「ひきこもりサポートネット」の電話相談のフリーダイヤル化実施や、社会福祉士、ファイナンシャルプランナーなど専門職の窓口設置、訪問相談の対象を35歳以上に拡充するなど、対策を講じている。 協議会では、これら既存の支援に加え、当事者・家族の状況に応じた支援のあり方を検討するとともに、
意識改革を呼び掛けた平田会長 全国乳児福祉協議会(平田ルリ子会長)は9月26日、京都市内で開かれた第69回全国乳児院協議会で、従来から持つ乳児院の機能に加えて、地域にいる虐待リスクの高い家族の支援などを前面に打ち出した報告書を発表した。乳児院が持つさまざまな機能を整理した上で、すべてを統括する「センター拠点機能」を追加。名称も乳幼児総合支援センターに改める。児童福祉施設の多機能化が求められる中、自ら具体像を打ち出すことで、今後の社会的養育の議論をリードしたい考えもあるという。 報告書は、全乳協の検討会が2018年12月から6回議論してまとめた。増沢高・子どもの虹情報研修センター研究部長が委員長を務め、委員には平田会長ら全乳協幹部のほか、複数の自治体で里親を支えるフォスタリング機関を担うNPO法人キーアセットの渡邊守ディレクターも就いた。 報告書によると、新たな乳幼児総合支援センターはこれま
検討会で新法の必要性が示された 厚生労働省は8月30日、困りごとを抱えた女性を包括的に支援する法律が必要だとの考えを明らかにした。現在は売春防止法(1957年施行)に基づく婦人保護事業が支援制度としてあるが、現代の複合的な課題を持つ女性やその子どもには、同事業では対応できないと判断した。9月末までに骨格を固め、法制化を進める。 同日の「困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会」(座長=堀千鶴子・城西国際大教授)で配布した資料「これまでの議論の整理(たたき台)」に、「法制度上、新たな枠組みが必要ではないか」と明記した。 委員からは「やっとスタート地点に立てた」「画期的だ」と評価する声が上がった。一方、「理念法」にするのか、サービスの提供やその体制整備を含む「給付法」にするのかは不明だ。 婦人保護事業は売春防止法の第4章(保護更生)に規定される。都道府県に必置の婦人相談所、第1種社
焼き菓子・パンが1番多く採用されている(和歌山・桜和) 都市部と地方の税収格差を是正するために、2008年4月に始まった「ふるさと納税制度」。14年ごろから返礼品を贈る自治体が増えたことで、制度の利用者が急増しており、18年度の寄付件数は約2322万件、寄付総額が約5127億円に上った。 実は、福祉と関係が深い制度だ。返礼品として障害者施設の製品が採用され、お墓の清掃代行などのサービスを障害者施設の利用者が担うなどする。岩手県陸前高田市の一般社団法人「ドリームプロジェクト」のように、返礼品の梱包・発送作業を担当する就労の場を立ち上げ、それを障害者施設の利用者が行っている例もある。 自治体によっては、寄付者の意向を確認し、返礼品相当分の金額を児童施設に寄付したり、車いすなど役立つ製品に換えて福祉施設に寄贈したりもしている。 今年2月には、ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を運営する(
授産とB型利用者が一緒に働く 福島市の社会福祉法人福島縫製福祉センター(臼田弘理事長)が運営する授産施設は、母子家庭の母親や生活困窮者と、障害者が一緒に作業する全国でも珍しい混合利用型施設だ。1937年の開所以来80年以上にわたり、一般就労が困難な人を支え続けている。 同施設は、傷痍しょうい軍人や戦争未亡人に軍服の縫製作業など就労機会を提供する軍人援護作業所として開所。生活保護法の保護授産施設を経て、57年に社会福祉事業法の授産施設となり、2006年に基準該当就労継続支援B型事業を始めた。 作業の柱は、法人名の通り縫製作業。200社・団体を超える取引先があり、幼稚園や学校の制服、行政・企業の作業服などを製造している。 縫製作業は上着などの上ものだけ、ズボンなどの下ものだけといった分担受注する事業所が多いが、同施設は全てを一貫受注する。 工程が増え、複雑・多様な技術も求められるが、それを担え
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