今回のポイント 現在の負担増や給付の削減という財政・社会保障制度の抜本的な改革が支持されないのは、シルバーデモクラシーという政治的な現象というよりは、現在と将来のどちらを重視するのかを表す指標である時間選好率が、近年おおむね上昇を続けている結果であり、生物学的な現象である可能性が高い。ちょうど高度成長が終焉した時点、あるいはバブルで日本が活況を示していた時にこそ、大きな痛みを伴う制度改革を実行しておくべきだったと言える はじめに人口や経済の右肩上がりの時代が去り、それを前提に組み立てられていた財政・社会保障制度の抜本的な改革が必要不可欠であるにもかかわらず、なかなか実現していません。こうした事態を指して、シルバーデモクラシーとの指摘もよく聞かれるようになりました。要するに、政治家や政党が、政治的に多数を占める勢いの高齢者に配慮することで、財政・社会保障制度の抜本的な改革が進まないとの言説で