定価:本体5,800円+税 2015年10月16日書店発売 A5判上製かがり綴じカバー装 590頁 ISBN978-4-900997-58-5 装幀:間村俊一 一八七四年に、アレクサンダー・グラハム・ベルとクラレンス・ブレイクはとても奇妙な機械を制作した。これは電話とフォノグラフの直接の祖先で、人体から切りとられた耳がネジで木製の台座に取りつけられていた。…… 音響再生産は、人間の耳をメカニズムとして模倣することから始まる。それまでの口に耳が取ってかわる。音についての理解と音響再生産の実践に、転換・転倒が起こったのだ。 そして、技術は私たちの聞き方をいかに変えたのか──。 視覚のヘゲモニーに覆いかくされながら、今も続く「耳の黄金期」。『聞こえくる過去』が語る物語は、音、聴覚、聴取が近代的な文化的生活の中心であり、その生活においては、音、聴覚、聴取は、知識、文化、社会組織の近代的な様式の基盤