タレント芸人は喧しい。 あんたたち、笑いの前に 芸をとりなさい。 寄席芸人たちの明日に向けて、 90歳の北村銀太郎が 日本を辛口に染め上げた。 本書は、新宿末広亭の席主(席亭)を長らくやっていた北村銀太郎が、べらんめえ口調で好きに語ったものを、映画畑の冨田均がまとめた一冊で、寄席というものが何をもたらしたか、寄席芸人がどういうものであったのかを、味よく告げている。 収録当時の北村銀太郎は90歳近かった。当時といっても、この本が少年社から出たのが1980年だから、もう25年以上前になる。志ん朝が日の出の勢いで高座をやっていて、それまでダントツだった談志が悔しがっていたころだ。明治23年の生まれだから、志ん生と同い歳である。家業が建築工務で、5代目柳亭左楽と出会って関東大震災後の空地に六三亭を開いた。3代目歌六改め6代目助六と一緒に営んだので六三亭だった。敗戦直後に新宿で旗揚げした関東尾津組の