いちいち感心する。アタシが思うには、写真っていうのは「その場のこと」じゃなくて「時」のことなの。写真は過去・現在・未来を想像させなくちゃいけないの。そうすると、そこにはやっぱり「死」ってことが絡まってくるわけ。 これは荒木経惟が電通に入社してしばらく、銀座通りを行き交う中年女性をスナップショットして、それを一人ずつ切り抜き、背景を消して白い紙に貼り、さらに複写した写真を解説しているときの言葉で、なぜ肖像写真には無地でなければならないかを話しているところだ。無地にするのは場所から時への転換を示すらしい。「時」と「死」が早くもクローズアップされている。 以下、時代を追って自作を解説していくのだが、いちいち感心するフレーズに出会う。母親と父親が死んだときの死体を撮るときは、母や父がいちばん好きだったポーズを探して撮った。 まあ、とにかく相手のステキなアングル見つけるってことが大事なのよ。というこ