東京電力福島第1原発事故をめぐる捜査で、検察当局が東電幹部らの立件見送りも視野に捜査を進めていることが5日、明らかになった。当事者の過失の有無を判断する際の最大の焦点は、東電が原発事故前に「15・7メートル」の津波が到来する可能性を試算しながら、対策を講じなかったことだ。告訴・告発者側は「大津波を予見していたのに放置した」と指摘するが、検察内部では「あくまで試算にすぎず、それで事故を予見していたと認定できるかは別問題だ」(幹部)との見方が根強い。 ■対策講ぜず 原発事故後に東電が社内に設置した事故調査委員会(東電事故調)によると、海面から高さ約10メートル地点にあった福島第1原発1~4号機は東日本大震災で約13・1メートルの津波に襲われ、全交流電源を喪失。1、3号機で水素爆発が起きた。 従来、東電は津波に対する原発の安全度を測る基準として、大学教授らで組織される土木学会が策定した「原子力発