それは早春2月の気持ちの良い日曜日、荒川土手を走っていた時だった。家から土手までの市街地を走る間は、車の危険があるのでイヤフォンは着けない。土手の上の歩行者専用の道を走る間だけ大きな音で音楽を聴きながら走る。フリッパーズ・ギターのファーストアルバム(こんなにも土手の上が似合う音楽を僕は他に知らない)を聴き終えて、次は・・。そうだ、あの頃のムードに浸るならジャズ・ボーンズのライブを聴こう。1988年に観たライブを自分のテレコで録音した音源が手元に残っている。ゆったりした裏打ちのビートに印象的なホーンのイントロが絡み、やがて気持ちの良いギターのカッティングにのって張りのあるハイトーンのヴォーカルが。女性?と思ってしまうほどの繊細さと、ソウルフルな力強さが同居した不思議な歌。Don’t pass me by.という曲の間奏部分で、ギターだけの演奏になり裏打ちのカッティングが8小節分繰り返される。