9月入学が注目を集めている。9月入学の社会的影響は多岐にわたるが、学校教育についての議論が中心となっており、就職との関連については現在のところあまり考察されていないように見受けられる。これまで9月入学によって就職が変わるかのような報道も見られているが、筆者は9月入学それ自体によって現在の新卒採用の基本的なあり方は変わらず、雇用が悪化する時期においては課題が大きくなる可能性が高いと推測する。以下では、9月入学と就職に絞って考えてみたい。 今回の9月入学は、就職については基本的に採用・就職時期の変更に帰結すると考えるのが無難である。これまでも大卒者の就職活動開始時期に関するルール(かつての就職協定)はたびたび変更されてきたが、在学中に訓練可能性を指標として内定を出す新卒一括採用は揺らぐことはなかった。例え9月入学であっても時期の変更のみにとどまる以上、基本的なあり方には変更は生じないだろう。