現代、われわれが身にまとう「洋服」は言うまでもなくヨーロッパで発展した衣服である。そのヨーロッパにおける服飾の歴史を多くの図版とともにコンパクトにまとめたのが本書である。 「第一章 身体の誇張」では、古代ギリシア・ローマ時代にも目を配りつつ、中世前期九世紀頃から二十世紀初頭までの変遷を、『ヨーロッパ服飾の特質が身体の造形性へのこだわりにある』(4頁)という観点から描く。本書によれば衣服はギリシア・ローマや日本の着物のような『身体に布を懸けて着る「懸衣」型』(4頁)と『ヨーロッパの衣服のように身体を緊密に包む「窄衣」型』(4頁)に大別できるという。 『つまりズボンとの組み合わせの二部形式で、窄衣を特徴とする西洋服は、寒冷の地域に住み、ズボンを必要としたゲルマン民族の服飾にさかのぼる。』(4頁) ローマ風の長衣とゲルマン風の上着と脚衣にマントを羽織る衣装とが併存しながら、十五世紀までかけてブリ