英紙タイムズは4日、ロシア軍の侵攻を受けるウクライナのゼレンスキー大統領に対してこれまで3度の暗殺が試みられたと伝えた。ロシア政府と関係の深い民間軍事会社「ワグネル」や、ロシア南部チェチェン共和国の「特殊部隊」が関与したとみられるという。 同紙はワグネルに近い人物の話として、ゼレンスキー大統領周辺…
安全保障理事会で演説するケニアのキマニ国連大使=米ニューヨークの国連本部で2022年2月21日、国連のウェブTVより ウクライナ情勢をめぐり21日に開かれた国連安全保障理事会の緊急会合で、ケニアのキマニ国連大使が行った演説が高く評価されている。軍事力を振りかざしてウクライナ東部の2地域の「独立」を承認したロシアの行動を、帝国主義によって分断されたアフリカの苦難の歴史をもとに「正当化できない」と明確に非難した。 「この状況は私たちの歴史と重なる。ケニアや、ほとんどのアフリカ諸国は帝国の終焉(しゅうえん)によって誕生した。私たちの国境は私たちが自分で引いたものではない。ロンドンやパリ、リスボンなど植民地時代のはるか遠くの大都市で引かれたものだ」 アフリカは19世紀から、英国やフランス、ポルトガルなどの欧州列強の植民地支配を受け、列強同士が勝手に決めた国境によって「分割」された。「今でもアフリカ
ウクライナ政府がロシアと戦う外国人「義勇兵」を募集しており、1日現在、約70人の日本人が志願している。在日ウクライナ大使館関係者が明らかにした。全員が男性で、元自衛官が多く「ウクライナの若い人が亡くなるぐらいなら自分が戦う」などと理由を語っているという。 ウクライナのゼレンスキー大統領は2月27日、志願者による外国人部隊を編成すると表明。在日ウクライナ大使館が同日、短文投稿サイト「ツイッター」を通じて「共に戦いたい方々」として募集した。 大使館から募集業務を委託された東京都内の企業関係者によると、1日夜までに約70人の志願の申し出があり、うち約50人は元自衛官だったという。かつてフランス外国人部隊に所属していた人も2人いた。
ネムツォフ元第1副首相の暗殺現場にウクライナ国旗と同じ水色と黄色の花を供える女性=モスクワで2022年2月27日、前谷宏撮影 ロシア各地で、プーチン政権によるウクライナ侵攻に抗議して「戦争反対」を訴える活動が続いている。当局による強硬な取り締まりによりデモは大規模化していないが、インターネット上で反戦を求める呼びかけには約100万人が賛同している。米欧などによる経済制裁の動きは市民生活にも影響を及ぼしており、戦争が長期化すれば、えん戦気分が拡大する可能性がある。 2015年に暗殺されたプーチン大統領の政敵ネムツォフ元第1副首相の命日を迎えた27日、殺害現場となったモスクワ中心部の橋の上は冥福を祈る人々で埋め尽くされた。ウクライナへの連帯を示すため、同国の国旗と同じ水色と黄色の花束やリボンを持った人が目立つ。中には「戦争反対」のプラカードを掲げ、周辺で警戒する警官隊に拘束される参加者もいた。
ウクライナへの侵攻を続けるロシアのペスコフ大統領報道官は26日、停戦協議に向けた交渉の動きが出ていた25日午後にプーチン大統領が一度、ロシア軍の動きを止めたと明らかにした。「ウクライナが交渉を拒否した」ことを理由に作戦を再開したと述べた。ただ、ロシアは事実上の降伏やゼレンスキー大統領の退陣を求めており、ウクライナ側は「受け入れられない条件」だとロシアに反発している。 ウクライナのウニアン通信によると、ウクライナ大統領府のアレストビッチ顧問は26日、「ゼレンスキー大統領が、許容しがたい最後通告を受け入れることはない」と述べた。その上で「可能なのはれっきとした交渉だけだ」と述べ、引き続き協議を求める意向をにじませた。
Q 外国(がいこく)の人(ひと)のインタビューが、「〇〇だよ」などに訳(やく)されることが多(おお)いのは元(もと)の英語(えいご)がタメ口(ぐち)だからですか。(岡山市(おかやまし)、小(しょう)6、熊代(くましろ)悠(ゆう)人(と)さん) イメージに合(あ)わせ、昔(むかし)の翻訳(ほんやく)にルーツ A 元(もと)の言葉(ことば)が、友(とも)達(だち)に話(はな)すような「タメ口(ぐち)」と呼(よ)ばれる口調(くちょう)だからではなく、キャラクターや状況(じょうきょう)に合(あ)わせて、日本語(にほんご)に訳(やく)す人(ひと)がそのような口調(くちょう)にしているのです。例(たと)えば、英語(えいご)の「I am a cat」は、「私(わたし)は猫(ねこ)です」だけでなく、「我(わ)が輩(はい)は猫(ねこ)である」「おいらは猫(ねこ)だぜ」などに訳(やく)すことができます。 NH
キリスト教用の教誨(きょうかい)室の祭壇には十字架やろうそく、聖書などが並ぶ=東京都葛飾区の東京拘置所で2012年10月4日、須賀川理撮影 昨年12月、日本で2年ぶりに死刑が執行された。死刑廃止が世界の流れとなる中、国際社会からは批判も強い。神戸連続児童殺傷事件(1997年)の弁護団長を務めた野口善國弁護士(兵庫県弁護士会)はかつて、刑務官として執行に立ち会った。情報公開レベルの低い日本の死刑状況にあって、野口さんの証言は貴重だ。【小倉孝保】 野口さんは70年、東京大学を卒業して東京拘置所の刑務官となった。翌年暮れ、執行を告げられたばかりの死刑囚を受け持った。 当時、執行は前日の朝、拘置所長から本人に告知されていた。それが終わるとすぐ、死刑囚を特別な部屋に移動(転房)させ、常時警備担当者が監視する。転房先は4階の一室。普段はその階全体が使われていなかった。 拘置所が執行決定を家族に連絡する
江戸時代初期に起こった農民やキリシタンによる島原・天草一揆(島原の乱、1637~38年)で、鎮圧に当たった九州の大名が抱えていた「忍者」が暗躍していたことが、近年の研究で明らかになってきた。九州では忍者の存在はあまり注目されてこなかったが、忍者によるまちおこしを目指す動きと連動して各地で史料分析が進んだ。 古文書から松江藩などで忍者の存在を裏付けた三重大国際忍者研究センターの山田雄司教授(日本中世史)は、忍者でまちおこしを目指す佐賀県嬉野市や、NPO法人「福岡忍者普及協会」(福岡市)から、それぞれの地元で忍者が実在したか調査を依頼され、2017年から九州の古文書を調べている。
時代物から世話物までを自在に演じる歌舞伎界屈指の立ち役俳優で文化功労者、人間国宝、日本芸術院会員の中村吉右衛門(なかむら・きちえもん、本名・波野辰次郎=なみの・たつじろう)さんが11月28日、心不全のため死去した。77歳。葬儀は近親者で営む。 歌舞伎俳優、初代松本白鸚(八代幸四郎)の次男に生まれ、母方の祖父、初代吉右衛門の養子となり、1948年に中村萬之助(まんのすけ)を名乗り初舞台を踏んだ。 その後は実父のもとで修業を積み、父や兄の現白鸚さんと共に所属会社を松竹から東宝に移し、66年に二代目として吉右衛門を襲名。東宝時代は主演女優の相手役をつとめるなど現代劇でも活躍したが、歌舞伎に打ち込みたいと松竹に戻り、研さんに励んだ。
「ボリウッド」と呼ばれて映画界に新風を吹き込んできたインド映画。「歌って踊るにぎやかな映画」のイメージが強いが、中にはダンスシーンのないヒット作もある。2019年に封切られて世界的にヒットした硬派なアクション映画「囚人ディリ」(ローケーシュ・カナガラージ監督)も踊らないインド映画の一つだ。11月19日からの日本での公開を前にインド映画の今を探ってみた。【川上珠実/デジタル報道センター】 インドは年間約2000本の映画が製作される映画大国だ。ユネスコ統計研究所(UIS)によると、16年の1年間にインドで製作された映画は1986本。2位の中国は853本▽3位の米国は656本▽4位の日本が610本――とインドの製作本数が圧倒的に多い。インドの中でも映画製作が盛んな商都ムンバイ(旧ボンベイ)は、「ハリウッド」をもじって「ボリウッド」と呼ばれる。
24日午後11時45分ごろ、三重県鳥羽市鳥羽で火事があり、3階建てビルと周辺の木造家屋計7棟が焼失、1人の遺体が見つかった。 ◇ 「鳥羽市の貴重な宝物が一夜で消えてしまった」 真っ黒に焼け落ちた「江戸川乱歩館~鳥羽みなとまち文学館」を前に、同市文化財専門員の野村史隆さん(73)は、こう言って立ちすくんだ。同館は、探偵小説の先駆者、乱歩(1894~1965年)と親しく交流した岩田準一(1900~45年)の自宅と書斎、蔵、展示館の4施設からなり、自宅と書斎が全焼した。未整理の資料がたくさんあったといい、野村さんは「調査にかかろうとした矢先の火災。残念だ」と肩を落とした。 江戸川乱歩館は2002年、木造2階建ての岩田の自宅を改装してオープンした。岩田は伊勢志摩の習俗や男色に関する研究に没頭し、「志摩の海女」「本朝男色考・男色文献書志」などを出版する一方、乱歩のほか、博物学者の南方熊楠、詩人の竹久
「責任を持てるのは今日までだ。ただちに大使館から退避せよ」。アフガニスタンの首都カブールが陥落した8月15日、現地の日本大使館に警備を担う駐留米軍から連絡が入った。 日本政府は当時、米側の情報も踏まえ、首都陥落は31日までに完了する米軍の撤収後とみて、大使館の現地スタッフらを民間チャーター機で18日に退避させる計画の準備を進めていた。ところが想定より半月早い陥落で計画は頓挫した。 当時、現地の日本人職員は12人。岡田隆・駐アフガン大使は欧米各国との調整のため、トルコ・イスタンブールに滞在中だった。職員らはただちに数人の在留邦人にそれぞれ意向を確認。退避を希望した報道関係者1人を最終の民間機で出国させた。 12人は15日夕、大使館を閉鎖。契約しているカブール市内の警備会社の事務所に退避した。ところが周辺の治安が急激に悪化し、事務所から米軍機での退避を目指して空港を目指したが、向かう先で銃撃戦
「アフガン人協力者を見捨てることはできない」と訴える元米軍人のマット・ゼラーさん=米南部バージニア州で2021年7月22日、鈴木一生撮影 気がつくとイスラム主義組織タリバンの兵士約50人に包囲されていた。2008年4月28日、アフガニスタン東部ガズニ州。マット・ゼラーさん(39)ら米陸軍部隊15人は、前線を視察中、道に迷っていた。 迫撃砲の砲弾が降り注ぎ、ゼラーさんの数メートル先に着弾した。溝に吹き飛ばされて意識を失った。すぐに目を覚ましたが死を覚悟した。アフガンの雲一つ無い青い空を目に焼き付けた。「戦って死のう」。そう決意し身を起こすと、間近で自動小銃AK47(カラシニコフ)の独特の銃撃音が耳をつんざいた。「撃たれた」と思った瞬間、目の前に現れたのは米軍のアフガン人通訳のジャニス・シンワリさんだった。 原則として通訳は武器の携行を許されていないが、シンワリさんは個人所有のAK47を手に応
記者会見する新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長=東京都千代田区で2021年8月12日午後4時50分、宮間俊樹撮影 東京オリンピック・パラリンピックについて、政府の「新型コロナウイルス感染症対策分科会」の専門家らが6月にまとめたリスク評価の提言を巡り、政府・与党から専門家に対して「圧力」があったことが浮かび上がってきた。提言を巡る政府と専門家の水面下の駆け引きを検証した。【原田啓之、金秀蓮】 「先生、提言に名前を連ねるのは、やめたほうがいいですよ」。厚生労働省に新型コロナ対策を助言する「アドバイザリーボード(AB)」の専門家メンバーの一人に6月初旬、自民党国会議員から電話があった。提言作成は4月に始まっていた。議員は「五輪の開催はもう決まっている。波風を立てないでほしい」と続けた。「何を言ってるんだと思ったが、ぐっとこらえた」。電話を受けた専門家は毎日新聞の取材にこう振り返った。
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