五月人形の産地は、頭を作った場所か、着物の生産地か、それとも組み立てた所か――。節句人形業界が原産地の表示方法をめぐって揺れている。4年越しの議論が続くが、職人の誇りなどがからみあい、決着していない。 節句人形は、江戸木目込(えどきめこみ)人形や京人形、岩槻人形(埼玉県)、駿河雛(ひな)人形など、地名が名前の一部に取り込まれ、ブランド化したものもある。ところが、その地名が「全工程の産地」とは限らない。 人形は、頭部、胴体、手足、着物、小道具など、部品ごとに専門の技術を持った職人が作る。各地から部品を取り寄せ、最後に人形師が組み立てるのが一般的だ。「頭は埼玉でも、着物の生地は京都ということもある」と日本人形協会の倉片順司・表示委員長は話す。 「顔は眉ひとつで表情が変わる。顔が人形の命」「着物が人形全体の印象を決める」「胴に顔をつける角度の微妙な違いで表情もかわる。組み立てで人形が決まる