レストランなどの外食業界で、口すっぱく言われることがある。 「手ぶらで戻ってくるな」 お料理ができた。それをテーブルに運ぶ。手持ちのものがなくなる。手ぶらになる。その状態のまま戻ってきてはいけない、という教えがある。 仕事は往復で つまりこういうこと。完成した料理を持っていくという作業は片道分。料理を持っていく時点で、もう片道分は何もない。そのもう片道分の仕事を自分でつくりましょう、見つけましょう、やりましょう。仕事は往復でやりましょう、ということなのだ。何もしない片道をつくってはいけないということなのだ。 確かにこれは物理的な作業量を考えても理にかなっている。料理を運ぶ、皿を運ぶということは、食器が一組出る。その帰り、何かお皿を下げてくれば、出して下げるだからプラマイゼロ。一方、料理を出すだけで終われば、使用している食器が増えるだけで、片付けが進まない。作業的な手間が減らないから、残りの